小学校の頃から、僕の推しはゴジラだった(ゴジラ-1.0感想)

https://godzilla-movie2023.toho.co.jp/



ゴジラという存在は本当に不思議だなと思う。1954年、僕が生まれる前に生み出されたキャラクターであり、復興と凋落を繰り返しながらも見た人の心に残り続けている。初の海外版映画「GODZILLA(1998)」の出来の悪さに、彼が内包するメッセージは海外には伝わらないのかと失望したのもとうの昔で、2年前のハリウッド版「ゴジラvsコング」に至っては

メカゴジラの登場
・人間と接続した遠隔操作(昭和メカゴジラ
・海に沈んだキングギドラの再使用(平成ゴジラ
・骨を利用した生体兵器(2000ゴジラ

メカゴジラだけピックアップしてもオマージュで過去作をコンプリートするなど海外からのゴジラへのリスペクトが全開になっており、youtubeでは、平成の「ゴジラvsデストロイア」の動画が「泣いたことない私ですが、この映像だけは別です」などなど海外の方々の熱い長文コメントで埋め尽くされている。なんだ、伝わってるじゃない。

 そしていきなりラストシーンのネタバレをするが、シリーズでも類を見ないほどの殺戮の限りを尽くした残虐なゴジラに対して、登場人物たちはみな敬礼をするのである。今回のゴジラはどう見ても戦争の象徴で、憎むべき相手であるはずで、敵国の兵士を倒して敬礼するはずもないのに、なぜか自然に。こんなキャラクターが過去にいただろうか。

 山崎貴監督ということで不安の声もあった本作、確かに人間ドラマのパートに関してはくどいところもあり、ツッコミどころもある。しかし「監督・脚本・VFX」と肩書に「VFX」をあえてつける山崎監督の映像美による昭和に降り立つゴジラの迫力は圧巻の一言だった。冒頭のサイズが小さいが故の恐ろしさ、銀座の信じられないほどの残虐な破壊、駿河湾での海上戦闘。特に銀座の放射熱戦シーンは庵野監督とはまた違った美しさがあり、新しい予備動作(息を吸い込むあたりが好きだ)からのきのこ雲と黒い雨の中で泣き叫ぶ神木隆之介。あの過剰すぎる演技に似合う絶望を与えられるキャラクターはゴジラぐらいだろう。浜辺美波の顔の不思議な昭和感もよく映像と合っていた。

 僕は誰が何と言おうとゴジラの吐くビームが大好きなのだ。したり顔の大人たちがCGで作ったビームで戦われてもねえ、怪獣物は肉弾戦でしょ、とか言ってきても、そんなことは知らない。平成メカゴジラゴジラが口からビームを撃ち合って真ん中で爆発して共倒れになるところが好きなのだ(そういえば「ゴジラvsコング」でまんまそのシーンがあった、あの映画、ほぼマッシュアップである)。

 ……と思っていたら、子供のまま大人になった大人たちーー庵野監督、アダム監督、そして今回山崎監督が「僕の考える最高の放射熱戦演出」を競い合っていた。僕は間違ってなかった。いや、大人になれなかったという意味では間違っていたのかもしれないが……。

 最近は「推し」という言葉が流行っている。僕は youtuber も vtuber もアイドルも通ってきているが、推しを見つけたという感覚は得られずにいた。今回、その理由が分かった。僕の「推し」の座は「ゴジラ」でずっと埋まっていたのだ。今日、私の推しはスクリーンの前で、1954年の原点「ゴジラ」の明確なオマージュを挟みつつ、また、コロナ以降の、閉塞感に苛まれ自分だけを信じつつも、やはり一人では生きている理由がわからなくなるーーそんな時代性ともリンクしながら、それでも抗え、生きろ、という明確なメッセージを伝えてくれていた。いやいや、最高の「推し」過ぎる。これは他の人が席に就けなくてもしょうがないわ。

 僕は平成ゴジラが特に好きで、シン・ゴジラが前述の放射熱戦含めあまりに理想すぎて、新しいゴジラ映画の想像がつかないでいた。しかし、敢えて時代を遡ることでシン・ゴジラとは全く違う、王道のゴジラが鮮やかによみがえったことに本当にしみじみと感謝した。ゴジラの器は本当に大きい。庵野監督と山崎監督、それぞれでこんなにも違ってこんなにも格好いいゴジラが見られるなら、もっとたくさんの才能あるクリエイターたちのゴジラが見たい。見たくてしょうがない。そんな気持ちになる素晴らしい映画だった。

 多分、これが僕の推し活、なんだろうな。

 

 

 

※いつものごとくyahoo映画にも寄稿しました

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鬼畜ゲー「ヨッシーNewアイランド(3DS)」をクリアしたよ!

ヨッシーNewアイランド ★★★★☆

 

やったぜ。途中心が折れかけたけど、やり遂げられたのがうれしくって、つい写真まで撮ってしまったぜ。

幼少期の僕は、ヨッシーアイランドに育てられたといっても過言ではない。だから、愛ゆえに本作には悪口をたくさん言いたくなってしまう。このスタート画面。465人のヨッシー。1UP安売りしすぎだし、それだけ死ぬ想定のステージならば鬼畜すぎる。

この数字「59」はエンディングまでに死んだヨッシーの数らしい。この数字を出すことに特に何も感じないあたりが、このゲームが良作にとどまるゆえん。任天堂さん、ちゃんと発売前にレビューしてください。

流石にそこまで苦労しなかったが「歩くと出てくるコイン」はずるい。ギミックに隠しはてな雲が多すぎるんだよね。

一番簡単だったかもしれない。

3-Sあたりからすでに鬼畜ステージ。赤コインとスター達成時には声が出た。

ヨッシーアイランド無印の頃から「ポチ」は本当に苦手。最後の最後でクリアした。本作はステージが全体的に短くて物足りなさがあるんだが、4-Sに関しては短さと最後に雑におかれた4つのはてな雲に感謝した。

5-Sは最初本当にクリア無理だと思った。敵を踏んでジャンプで上に上るって、マリオメーカーのステージじゃないんだから。とはいえ、ジャンプ押しっぱなしで十字キーのみの操作にすると少しだけ楽になった。

6-Sは長い分ちょっと難易度は4-Sや5-Sより控えめ。ラスボスは弱いが、ノーダメージクリアをしようとすると意外ときつくなるように作ってあって、この調整はなかなか良いなと思った。

 

全体的に、ステージづくりの発想において「性格が悪い」。笑 いかにもジャンプしてほしそうな地形でジャンプしたら死ぬ、みたいないじわる極まりない発想は、任天堂がやらなくていいと思うのだ。

とはいえ、なんだかんだ、やはりヨッシーアイランドは楽しい。

「ファイアーエムブレムif 暗夜王国」総評 人物編

 前回(暁の女神感想)でなぜか好評だった人物編。これが書けるぐらいまでやりこまないとファイアーエムブレムというシリーズは面白くないゲームなのだ。きっとGBAで流し気味にやったシリーズもこれを書けるぐらいやりこめば面白いんだろうな。そしてそれぞれ100時間ずつぐらいかかるんだろうな……。

 当たり前ですが、ネタバレ全開。

https://www.nintendo.co.jp/3ds/bfwj/character/index.html より引用

シリーズ共通キャラ

カムイ

 メンタルよわよわな甘ちゃん主人公。全然リーダシップがないので、ドラゴンの血を引いているから周りから一目置いてもらえてるのかな、と思ったら、どちらかというと暗夜白夜の親族たちがむちゃくちゃ優しくて、毎朝エリーゼに甘々な声で起こしてもらい、カミラに溺愛されていたせいでこうなったんだと思う。ドラゴン関係ない。

 「暁の女神」でアイクが敵に回った時のような恐ろしさはこの子からは感じられない。やっぱり、このゲームはファイアーエムブレムとしてはむしろ異質な、家族主体の勧善懲悪物語なんだろうなと思う。

 良くも悪くもこのゲームのストーリーを象徴するキャラクター。女性と結婚したいので男にしたが、この子の過剰な優しさは、女の子の主人公のほうが絵になったかも。

 フェリシアと結婚。ここでも甘々なマイルームを過ごした。メイドさんと結婚するのはどうなんだろうと思いつつ、あとから子世代とも結婚できると知って、ま、まあ普通の結婚相手だったかな、と思った。フェリシアかアクアと結婚する人多そうだ。

ギュンター

 いわゆるジェイガンポジション。最初から強いが成長せず、ずっとこの人に頼ってると詰む、という立ち位置なのだが、途中離脱して再会するストーリーになっているのは結構うまいな、と思った。この人も支援会話見ると主人公命である。まわりの人に恵まれたよね、カムイ君は。

 老齢のせいか結婚はできない。

フェリシア

 氷の部族のドジっ子メイド。氷の国は結構立ち位置の難しい国なのだが、その出身の割にはやはり優しい。魔法使い系に強く、魔法使いだらけの場所に置いておくと無双する結構な強キャラなのだが、毎日皿を割ってコケる子が戦場で強いというのは、わりとファンタジー

 カムイと結婚。だいぶ甘々な新婚生活だったが、実はフェリシアに限らずクール系のキャラも結婚すると結構みんな甘々である。メイドさんに「あなた」と言わせるのはちょっとぎりぎりというか、禁断の愛感があるなと思った。

ジョーカー

 主人公の身の回りの世話をしている男性執事さん。フェリシアと違って仕事はできる。幼いころ主人公に救われた過去を持っていて、やっぱり主人公に激アマであるが、まあこの人の場合はしょうがないかもしれない。主人公がもらった優しさが人を救うという、優しさの連鎖である。ただし、主人公だけが特別で他のメンバーには割と容赦がない系。

 エリーゼと結婚。消去法で選んだんだが、(主人公以外には)容赦がない系のクールキャラとおこちゃまキャラ、結構いい組み合わせなのでは、と思う。結婚エピも嫌々エリーゼの遊びに付き合ってたらなんか通じた、みたいな感じでよかった。

スズカゼ

 彼は幼い頃の主人公への後悔と、主人公に(ススカゼの場合は敵対する白夜所属なので、命そのものを)救われたエピソードを持っていて、主人公に忠誠を尽くす。こう書いていると、主人公の優しさがストーリーの根幹だなあと改めて思う。忍者だがイケメン設定で、物凄くモテるとのことだが、忍者がイケメンで目立ってしまうのはかなり困りそうではある。もしかしたら男版くノ一として活躍した場面もあったのかもしれない。

 なお、ファイアーエムブレムifではかなり貴重な、射程3の手裏剣が使えるので終盤すごく役に立った。地味に強キャラ。

 モズメと結婚。やっぱりモテすぎるイケメンは素朴な田舎少女と付き合うものです。ミドリコに対して子煩悩なんだろうなーと思いながら会話を見ていた。モズメ・スズカゼ・ミドリコ、すごい幸せな家庭を築きそう。

アクア

 本作のメインヒロイン。カムイより目立っているまである。後述。

モズメ

 良成長を持つ、本作の成長枠。あんまり成長枠を真面目に育てたことがなかったのだが、今回暗夜ハードの難しさを少しでも緩和することを期待し、真面目に育てたらエース級に強くなってしまった。モズメ神と言われるのもわかる。なお、耐久はそこまででもないので、調子に乗って強敵の前に置いたら死んでしまってリセットしたことも数知れず。支援会話より戦闘の活躍で印象に残った珍しいキャラである。

 しかし、熊とかと戦って倒してた(謎の「熊の強いところは頭のいいところ」という解像度の高そうな会話には笑った)らしいので、素養がしっかり開花したということなのかもしれない。

 スズカゼと結婚。

暗夜王国:親世代

サイラス

 伝統的な騎士ポジションキャラ。性格も絵にかいたような好青年という感じなのだが、なので若干印象が薄いところがある。最初から好青年の子はなぜかカムイ君のエピソードが辛辣で、再会時に名前を憶えられていなかったという不遇のキャラである(幼い頃だからしょうがないね)。

 結婚相手はピエリ。い、いや、冗談じゃなくて、刺激が欲しいかなって思って……。

エリーゼ

 毎朝主人公を甘々な声で起こしてくるらしい、幼いまま大人になった系キャラ。VTuber の DWU さんのような物凄い金髪縦ロールでセットが大変そうである。思っていることを素直に言うので、ガロン王とのやり取りはなかなか冷や冷やするものがあるが、不興を買って殺されてないあたり、実はここぞという空気は読んで抑える頭の良さがあるのかもしれない。この子に関しては白夜編のほうがキャラがつかめるのかも。

 ジョーカーと結婚。試しに主人公とも結婚してみたら、背徳感すごかったが、16歳以上ではあるよね、たぶん。幼く振舞ってるだけで。

ハロルド

 斧戦士ポジション。街の困りごとを解決する何でも屋ヒーローで、ワンパンマンかヒーローアカデミアあたりの当時の流行りを踏襲したんだろうなと思う。幸運が極端に低いという設定が面白く、彼の幸運が上がる時だけ制約を解除するゲーム実況があったり  *1 と、流行りを取り入れた成功例と言える。ただ、僕はシャーロッテのほうを運用してしまったので、 LV20 にはしたが活躍はさせられなかった。

 ベルカと結婚。我ながらこの組み合わせはいいなと思う。冷たい殺し屋には彼のようなまっすぐなおバカさんがよく似合う。

エルフィ

 大食い女ジェネラル。力が上がる代わりに硬さはそこまでないという点で後述のブノワと差別化されている。僕のプレイでは大分活躍した方なのだけど、モズメ神の鮮烈な成長や、ブノワ神の安定感と比較すると少々中途半端で印象が薄い。キャラとしてもう一味何か欲しいところである。

 ブノワと結婚。壁が本当に貴重な暗夜編でビビって二人ともジェネラルにしちゃったので、絵面的に結婚かなって思った。なお、カムイと結婚すると「結婚を申し込まれた緊張によりカムイが持ってきた食事を焦って食べてしまい(顎の力で)中に隠された指輪を割る → 割れた宝石でおそろいの指輪にしよう」という、結構エモなエピソードが披露される。宝石を割る歯ってどんなんだというツッコミはあるが、このような小ネタが面白いのは本シリーズの良さの一つだ。

オーディン

 厨二病な魔法使い。リザイヤ地雷(吸収系の魔法で雑魚を一掃する)がかなり役に立ったのだが、キャラ設定が軽すぎてそんなに印象に残らなかった。さすがに当時としてもこのキャラは安直すぎる気がするが、実は覚醒で人気だったため、こっそり続投したキャラとのことらしい。剣聖にしたほうがよかったのかも。

 カミラと結婚。この組み合わせは正直あんまり自信がない。でも厨二病を引き継いだ娘のオフェリアはすごくかわいいし、後日談を読むと結構すごい魔法使いになったらしい。

ゼロ

 これまた賛否両論ありそうな、下ネタセクハラキャラ。やはりどうしても本作はキャラが軽い。治安の悪い暗夜王国出身らしく、盗み殺しなどなんでもやる環境の悪い幼少期を経てこのような歪んだ性格になってるということなんだが、その過去をもって純粋なキャラに下ネタを言って困らせるような(幽遊白書の樹のような)キャラになるのかというところに若干の疑問は感じた。なお、魔法防御が高いのでモズメと差別化できていて、戦闘では大活躍。主人公と同性婚できる。

 シャーロッテと結婚。まあ、なんというか、恋愛観がこじれたもの同士を合わせてみた。娘のエポニーヌもまた性癖をこじらせ BL にはまるので、しっくりくる結婚だった。

ニュクス

 本シリーズでダークマージポジションの女の子は大体好き。後述。

カミラ

 同人誌に出てきそうな、やたら主人公とお風呂に入りたがるエッチなお姉さん。ED ムービーの、彼女の胸にぶつかってボンって音がするという、80年代感あふれる演出には笑ってしまった。とある事情でカムイに依存しているので、多分、結婚相手はカムイと別の人のほうがいいのだろう。

 カムイの邪魔をする敵は容赦なく殺害するというヤンデレ属性まで持っていて、案の定人気が高い。当時から人気が高そうだが、2023年現在でも人気の出そうなキャラ属性と言える。

 結婚相手はオーディン。結婚さえしてくれれば、うまくいくと思う。主人公への思いに囚われなかった世界線のカミラでした。

ルーナ

 ツンデレ女剣士。暁の女神におけるワユ大好きっ子としては育てたかったが、本作はめずらしく剣士が結構不遇で運用には苦労した。斧だらけのマップでは、斧を避けまくって、太陽スキルで自動回復して無双してくれたので、場所を選べば壁役としても役に立つ。ツンデレ要素はちょっとあからさますぎてピンとこなかった(個人の感想。この子も前作の続投キャラなのでむしろ一般的な人気は高い)。

 ラズワルドと結婚。見た目も設定も似てるからさ。

ベルカ

 殺し屋ドラゴンマスター。殺しを教えてくれた恩人をも殺して生きてきたというまたまた悲惨な過去を持つのだが、後述のピエリと比較すると不思議と違和感はない。人間の主体的な倫理観とは不思議である。

 しかも、その恩人殺しのエピソードを結構な支援相手にばらしている気がするので、意外とおしゃべりなのかもしれない。

 パラメータはわかりやすい守備型ドラゴンマスター。ただ、素早さが伸びず二回攻撃を受けやすいため、ジェネラルとして二回攻撃を受けないスキル持ちのブノワやエルフィと比較するとかなり脆く感じる。その代わり移動力があるのだが、技も伸びないので命中率も少し頼りない、という感じで運用が難しかった。

 結婚相手はハロルド。いいカップルだと思う。

ラズワルド

 色男系剣士。ダンスがうまいらしいが、そこまで印象に残らず。このキャラもまた前作人気による続投キャラなのだが、どうも前作のファンと微妙に趣味が合わない気がしてきた(前作のシナリオ込みで判断すると違うかもしれない)。

 ただ、ピエリがああなってしまった理由は彼との支援会話で語られるという点では重要。その時は彼女を抱きしめて一緒に泣いてあげていたので、いい奴なんだろう。

 結婚相手はルーナ。見た目がマリアージュしてた。

ピエリ

 本作最もインパクトの強いキャラ造形。後述。

シャーロッテ

 玉の輿狙いの二面性女子。ブノワと一緒に現れて、ちぐはぐなコンビとしていい感じだなと思ったのだが、登場以降あまりコンビでは語られずそれぞれ独自のキャラ立ちをしていく。彼女はバーサーカーとして成長し、硬すぎて倒せず二時間のプレイがやり直しかと思ったボスが、彼女によって沈んだときは彼女に五体投地して感謝した(誇張表現)。

 ゼロと結婚。

 余談だがこの「鎧・へそ出し・でっかいリボン・萌え系の手の置き方」のデザイン、インパクトすごかった。ファンタジーらしさ全開の立ち姿である。

https://www.nintendo.co.jp/3ds/bfwj/character/index.html より引用

ブノワ

 ブノワ神。そこそこ伸びる魔防も含め、総合的にあまりに固く、攻略サイトのルナティック攻略では「はいはい、ブノワブノワ」と言われるぐらいの強キャラ。僕も存分に頼らせてもらったが、正直、頼りすぎて何度も敵の中で孤立してしまい死んでしまった。苦い思い出である。

 支援会話でも「熊を一ひねりで倒した」などモリモリで語られて困っているらしい。こういう、ゲームの中の描かれ方と、プレイしたときの印象を合わせるというのはゲームへの没入感を深めるよい演出だと思う。ゲームの中では皆に持ち上げられてるのに、実際にプレイで使うと弱いキャラってちょっと嫌じゃないですか。

 エルフィと結婚。

レオン

 ちょっと女の子みたいな整った顔をしたマークスの弟。魔術の才能に秀でている。僕はファイアーエムブレムでは武器耐久が減らない魔法使い系が好きなのだが(シリーズによっては減るし、本作のように通常物理武器も減らないパターンもある)、本作に関しては頑張って育てたニュクスやオーディンも結局レオンの後塵を拝した。やっぱり適度に耐久がないとしんどいのである。専用魔法も強い。

 ニュクスと結婚。職業が似た人同士惹かれあうかなと思ったが、エンディングの後日談が当たり障りのない内容で少し不服。

フランネル

 ガルーという種族。うまく運用できなかったが、なんかほのぼのとしてて勝手に楽しそうである。そういえば、本作は FE 王道の「獣系種族の迫害」ってエピソードが特になかったな。そのせいか暗い印象がない。

 なお、アクアと結婚。主人公がフェリシアと結婚してしまったせいでアクアの相手が見つからなかったのが正直なところだが、今にして思えば「フランネル・ベロア・アクア・シグレ」という構成、意外とよい家庭になりそうな気がする。アクアの固さとフランネルの軽さが相性よさそう。なおアクアは暗夜王国では……となってしまうのだが。

マークス

 最強格次期王子。専用武器「ジークベルト」があまりにも強く、しっかりと無双してくれた。彼をなるべく使わずに経験値を稼いでまんべんなく育成してた時の辛かったこと辛かったこと。

 結婚はせず。いかにも堅物っぽかったので、国と結婚してもらおうと思いまして(本作は男主人公がフローラと結婚しないと必ず一人余ってしまうシステムなのだ)。一応彼の子供エピソードもプレイしたのだが、子供まで超真面目キャラでちょっと固すぎた。他のキャラの軽さの反動だろうか。

 なお、その際の結婚相手はピエリ。いや、ピエリを雇ったのはあなたなので割と真面目に彼女を雇った責任を取ってほしい。というか彼女を雇うあたりマークスも焦ったり迷ったりしていた時期があったのかもしれない。

アシュラ

 暗夜王国の盗賊団頭目。なんとなく海賊みたいな佇まいの人(アドベンチャラーって兵種、海賊感ある)。運用すると強そうではあるが、正直育ててる余裕はなかった。

フローラ

 氷の国のメイドさんフェリシアよりだいぶまとも。ただ、支援を結べる関係が少ない。フェリシア離脱時のお助けキャラポジションかも。

イザナ

 中立国の王子様。すっごい軽い。支援を結べる関係が少ないが、だいぶ終盤に加入するので割と強そうだなという印象。デザインかっこいい。

暗夜王国:子世代

カンナ

 カムイの娘。チキとかの竜の娘ポジションだと思う。かわいい。

シグレ

 アクアの息子。この子の存在だけがアクアの存在を証明している、という後日談がなかなか切ない。男だが白馬に乗るのが似合う。

ディーア

 ジョーカーの息子。どこぞの探偵さんというか、個人的にはシャーマンキングファウストっぽさを感じた。

ゾフィー

 サイラスの娘。親よりおちゃらけた感じだが、馬に馬鹿にされながら心を通わせ、乗馬の高みにたどり着いたという後日談はそれっぽい。

ミドリコ

 スズカゼの娘。真面目可愛い。モズメを妻にしたので、もう絶対いい家族。子世代のなかでは大分運用できていたのだが(スキルでたくさん小判を拾ってくれた)、最後はスズカゼの射程3武器が使えなかったので二軍に。お父さんは強し。

ジークベルト

 マークスの息子。いや、加入エピソード真面目過ぎる。

フォレオ

 レオンの息子。男の娘。男の娘はそんな趣味じゃないが、かなり可愛い。よくよく考えるとレオンも結構女の子な見ためだなあと、血の強さを感じる。ぜひお父さんにもかわいいフリフリの服を着せて、親子で街を歩いてほしい。

イグニス

 ブノワの息子。ブノワもこっそりお守りを持っていくような慎重キャラなのだが、それに輪をかけて小心者のキャラになった。いや、君の母はエルフィなのだが、お父さんの要素しか継いでなくない?

ベロア

 フランネルの娘。ケモミミ・おっとり・ちょっと悟っていて冷めた感じと、とっても好み。だが、彼女を運用する余裕がなかった。悲しい。

ルッツ

 ハロルドの息子。親と反転して運が超絶よい。もう一回周回するなら、ベルカの代わりに運用してみたさがある。

オフェリア

 オーディンの娘。厨二病をしっかり受け継いでいるが才能豊か。運用時もニュクスより強くなってしまい、ニュクスを二軍に落とすか迷っていたら最終的にはレオンに持って行かれた。本作のダークマージ運用難しい。

ソレイユ

 ラズワルドの娘。色男の性質を受け継いだ女の子だが、好きな対象が女の子のまま。女の子にときめく分男の子への接し方がサバサバしているのが好みだったが、断腸の思いでお母さまのほうで最後まで運用した。ガチ百合というより、どっちも行けるタイプっぽい。

エポニーヌ

 ゼロの娘。シャーロッテと結婚したことで金髪になって、個人的に見た目が超絶好みになったのだが、モズメ神とゼロが活躍していたので運用する余裕がなかった。ゼロとの親子の確執や怪盗という十分にキャラが立つ要素を持っていたので、あえて「腐女子」要素を入れるべきだったかどうかは正直微妙だなと感じるが、人気投票の順位は高い。僕が間違っている気がしてきた。

特に気に入ったキャラ

アクア

 このすばの同姓同名のヒロイン「アクア」と、ともに水属性であることもあって最初は印象が被ったが、あっちのアクアと違いこっちのアクアは完全なクールビューティ。意志薄弱の主人公カムイと比較して、意志の強さが印象に残る。ヒロインというかもはや本作の主人公。水着と着物とローマ貴族の服を合わせたかのような服装も美しい。

 時には忍者を倒したりと武闘派な側面も見せてネットではなんとアクアネキとまで呼ばれているらしいが、実際の戦闘ではかなり脆くて LV MAX でも攻撃を受けると一撃でやられてしまう。とはいえ、難易度ハードにおいて、アクア(踊り子)の「再行動」は強キャラを二回行動させられる上に能力もプラス補正されるというとんでもないスキルで頼りっきりだったので、ほぼ全マップに出撃し LV MAX になるのも一番早かった。

 つまり、見た目が特別に美しい・物語を回す実質主人公・戦闘でも大活躍、という三拍子そろった人物で、本作では彼女が最も印象に残った人も多いのではないだろうか。僕もその一人で、登場時から明らかに特別な見た目で印象に残り、最後の儚い退場シーンに至り、最初から最後まで彼女がこのゲームを引っ張ったなあという感想である。

 一応、フランネルと結婚したのだが、別のセーブデータでカムイと彼女を結婚させたときは急に超絶デレ始めてびっくりしてしまった。かわいい。アクアと結婚してシナリオを進めていたらラストはもっと悲しみに暮れていたのかもしれない。インビジブルキングダムで救われていることを願いたい。

ニュクス

 幼い頃、呪術が暴走して年齢が成長しなくなった、二次創作とかにありそうな設定をそのままぶっこまれた魔術師のお姉さん。実は呪いをかけたのは自分自身で、呪術の暴走時に自分がやったことを自分自身で何度も思い出すためのものという悲壮な過去を持っている。……のだが、結果的には「不老不死の不老」で、幼く美しいままの姿をずっと維持している状態になっている。誰にも愛されず人を信じてないようだが、実は周りの人、恐れていたというより、嫉妬してた説、あるかもしれない。

 本シリーズの魔術師のお姉さんポジは好きなのでつい頑張って育ててしまった(暁のイレース、風花雪月のリシテア……)。ただ、あまりに装甲が紙過ぎて活躍させられず。実際、彼女の育成難度は高めらしい。

 レオンと結婚。正直あんまりしっくりこない。ネットを見ると、スズカゼとかと組み合わせる人が多そうである。カムイと結婚すると「僕が君の鏡になり、本当の姿を見せるよ」というエモい台詞を(カムイ)が言う。ニュクスに限らず、カムイの結婚(支援S)会話、かなり気合入ってると思う。面白い。

 なお、ニュクスさんと結婚すると、マイルームでは口元のヴェールを取ってくれる。印象的なのでネット上にいくらでもあるかと思いきや意外となかったので、ニュクス布教の会会員(今作った)として貼っておく。かわいいぞ。

https://twitter.com/i/status/1703504636454531307

ピエリ

 そして彼女に関しては気に入ったというより、強く印象に残ったキャラである。これまで紹介してきた通り、暗夜王国は治安が悪い設定で、盗み・殺しを経て育ってきたような厳しい幼少期を過ごした人も多い。多いのだが、彼女に関しては「殺しが趣味」である。

 しかもヒソカみたいなピエロっぽいメイクにギザ歯で「~なの」とまるでアイマス星井美希みたいな語尾で子供っぽくしゃべりながら「従者がむかつくと、えいっ、ってしちゃうの」とのたまう姿は完全に【サイコパス殺人鬼】である。いくらこの多様性の時代でも彼女に萌えろというのはさすがに難しくない? ぶっ飛び具合は僕がプレイしたファイアーエムブレムシリーズでは断トツだし、彼女を超える人物が今後出てくる気もしない。

 しかし、だからこそ、絶対理由があるだろうと支援会話を積極的に進めるのだが「実は呪いの人形だと思われていたのは、従者の返り血を浴びた彼女だった」というより恐怖をあおるエピソードが聞かされる(ゼロとの支援会話。僕はこのエピソードで実は殺していたのは人形ってオチがつくのかと思った。残念ながらしっかり人間だった)。主人公と結婚してみたら「従者は君に殺されないような強い人でそろえるね」なんて会話が成り立ったりしている。いやいやいやいや。のんきに結婚してないで戦争終わったら牢屋に入れてくれ。

 やっと、マークスの部下つながりのラズワルドとの支援会話にて「幼いころ母を従者に殺された。家の中の従者はみんな同じに見えたから、犯人が生きてると思って怖かった。だから殺してしまった。精神の成長はその衝撃によって止まった」ということが明かされるのだが、逆に明かされて余計に罪のない従者を殺す人だって言うことが強調されてしまった。名門貴族の家だからこそ、従者を人間扱いしてなかったのかもしれないが、それはそれでまた身分制というヤバいテーマに踏み込むことになる。

 というわけで、関連wikiまで読み漁ったうえでの結論は、このキャラで行こうと決めるスタッフが結構サイコパス、である。彼女よりカミラのエロさで CERO 判定が上がったらしいが、彼女のエピソードのほうがよっぽど CERO 上がるだろ……。主人公は「マークス兄さんが彼女を部下にした理由が分かった」気がすると優しい目をして言うのだが、ホントに? 僕はマークス兄さんがわからないよ。

 確かに彼女のやったことは「外圧により精神が死んだ事による倫理観の崩壊が原因の殺人」であり、ゼロやベルカの「生きるために人殺しもした」と何が違うの、と言われると僕も頭を抱えることになる。法律で裁けば、精神鑑定がはいりそうで、どっちかというと、ゼロやベルカのほうが罪が重いのかもしれない。僕の倫理観が間違っているのか……。

 となぜか自分の倫理観まで反省させられるというすさまじいキャラ造形であった。いや、本当に攻めている。本作では彼女の存在で、支援会話のコンプリート欲を強烈に刺激された面はあり、ある種の引き要素としては成り立っている気がする。味方サイドでここまでできる、と示したファイアーエムブレムif は、総合的には「暗夜王国」の名に恥じない暗い闇を行く作品だったのかも、と思った。

「ファイアーエムブレムif 暗夜王国」総評

ネタバレ全開です。しかし、15年ぶり*1ファイアーエムブレムの総評書くな……。

 

ファイアーエムブレムif 暗夜王国 ★★★★☆

他のシリーズ:ゲーム本棚。 - 夕べの夕陽の眩しさの理由。

 

はじめに

 僕はファイアーエムブレムが怖い。というのも、蒼炎の軌跡暁の女神にドはまりして、夏休みを溶かしてしまったからだ。このゲームにはまると、このゲームをプレイすることが毎日の目標になってしまう、そのことに気づいた僕は、その後、GBAの「封印の剣」「烈火の剣」「新・暗黒竜と光の剣」を我慢できずに買いつつも、支援会話などもそこそこに流しでプレイしていた。「風花雪月」もおそらくほとんどのユーザが3周目ぐらいにしか使わないであろう「休息」を使って流していたら飽きてしまい、途中で放り出してしまった。

 

 しかし、今年久しぶりに「風花雪月」に真面目に向き合った。流してプレイするなんてやめよう、ゲームのプレイが毎日の目標になったからと言ってなんだ。今の僕には逃げることのできない仕事があり、2ヵ月宿題もなく放置されることもない。そこで、初回プレイ時には放置していた好感度上げや釣りなどの要素を真面目に取り組んでプレイしたら、鬼のように面白い。これだ、これが僕がゲームに求めていたものだった。思い出した。

 

 「風花雪月」を2周して、あらためて、このシリーズの中で描かれる「戦争の中の人間たちの関係性」が僕を惹きつけてやまないことを理解した僕は、3周目をする前にふと思った。タンスの中に眠っていた、3DSと「ファイアーエムブレムif」を御馳走の前にさらっと前菜的にプレイしてみたいと——。もう、迷わない。支援会話も通信要素も、なんでも全部楽しみきってやる!

 

 そしたら「風花雪月」に戻れないぐらい、夢中になってしまったのだった。

ストーリー

あらすじ:主人公は暗夜王国で怖い王様の下軟禁されながらも、優しい家族たちに囲まれて育った。しかし、主人公は知ってしまう、自分は本当は敵対する白夜王国の出身であり、そこに本物の温かい家族がいることを。そんな暗夜王国白夜王国の全面戦争が始まる——主人公はいったいどちらの陣営につくのか。

 そもそも3DSにて「覚醒」と「if」と選択肢があったのに、僕が「if」を買ったのは、このいかにも殺伐とした要素のせいである。「風花雪月」の類稀なる重厚なストーリーのような、正しさを求め迷う人間の生々しい姿が描かれるのではないか。

 しかし、結論から言ってしまえば、このゲームの本質は「風花雪月」のような三国入り乱れる群像劇、ではなかった。どっちかと言えば、王道の「仲間と悪の大王を倒す」というストーリーである。正直期待外れだったところがある。

 主人公は本当に甘くて、自分の正義の下に時には白夜兵を涙ながらに殺戮するかと言えば、まあするときもあるけど、大体は分かりやすく悪い軍師や、悪に取りつかれた王様が同席した結果であり、基本的に全員命を救う気満々である。バリバリの正義なのだ。

 そのうえ無茶苦茶意志が弱い。仲間が身を挺して主人公を助けると、大体そこで悲しみに沈んで立ち止まってしまい、ヒロインのアクアとかに諭されて「そうだね、僕はここで立ち止まってちゃいけないんだ!」みたいにやっと決意する。自分の分身であるのがちょっと嫌になるぐらいである。一応戦乱の時代のリーダー格なんだからもう少し頑張ってくれ……。

 ここに関しては、まあそもそも売り方が悪いだけで「育ての家族、生まれの家族、どっちも大事で、悪いのはドラゴン」みたいなのがこのストーリーの骨子っぽいので(ぽいというのは暗夜編しかやってないから)、まあそれはそれでいいかなあと思ったのだが、だったら「暴走する暗夜王国を内側から変えようと試みる」という謳い文句を言っちゃ駄目である。というか、もともと家族はいい奴ばっかりなので、内側は全く変える必要がない、軍師と王様だけが悪い、こいつらを殺せばいいだけである。これなら、最初からどっちにも所属せず中立国で仲間を集める、DLCインビジブルキングダムだけのほうがよくストーリーの骨子が伝わるのでは? と思ってしまったのだった。

 少なくとも「風花雪月」のような重厚なストーリーを期待すると肩透かしなので、気を付けてほしい。Switchリメイクでは最初からインビジブルキングダムルートを選択できるようにしてもいいかもしれない。

キャラクター

 キャラクターは魅力的である。「覚醒」からコザキユースケ氏による、美麗で「今っぽい」イラストに変わっていて、2023年現在でも古臭さは感じない。ただ、キャラ造形は正直硬派な「暁の女神」が売れなかったせいもあって、かなりコビコビで軽いところはある(これはおそらく「覚醒」からだろう)。

 「ツンデレ」「ヤンデレ(というかサイコパス)」「男の娘」「ドジっ子メイド」「腐女子」など当時の流行りがあからさまに反映されていて、今となってはどうしても古臭く感じるところがある。2023年にこのゲームが出ていたら「ツンデレ」はもういないかもしれない。

 ただ、ファイアーエムブレムの伝統である、細やかな支援会話やエンディングの後日談を持ってその人の人となりがわかるシステムは素晴らしい。これがあるので、支援会話を無視できないのである。

 また、キャラごとの性能差は作りこまれていて、難易度ハードでは安直に強キャラ無双もできず、強キャラ以外も育ててマップごとに生かす、というバランスが保たれていた。戦闘で活躍できるかどうかは、キャラクターを愛するための大事な要素。このあたりの調整はさすがファイアーエムブレムだ。

システム

 これまで文句ばっかり言ってきているが、このゲームにはまったのはこのシステムのおかげだと思う。ファイアーエムブレムの基本である三すくみに加えて、攻陣(隣り合ったキャラと一緒に攻撃)と防陣(後衛になり行動できなくなる代わりに前衛をサポートし、攻陣の連続攻撃をブロックする)という要素のおかげで、かなり頭を使わされた。また、竜脈という要素により地形変化ギミックが多彩で、マップごとに別の難しさがあり、何度も3DSを放り投げそうになりながらも、とても楽しんだ。

 ストーリーには文句があるものの、この「暗夜編・ハード・クラシック(死んだら生き返らない)」を選んだ時の難易度はかなり絶妙な調整だったと思う。正直ノーリセットだと普通に詰むレベルだが、通信要素による救済措置はなんと2023年現在も稼働しているので、もしこれからやる人がいたら安心してプレイしてほしい。なんだかここに密やかにSNS的なコミュニティが形成されていた形跡もあり(武器の名前が変えられることを生かして、メッセージを送りあいコミュニケーションしていたようだ)、久々に mixi にログインする時みたいな楽しさを感じた。

 実は僕はファイアーエムブレムはこれまでほぼSRPG要素はサブのキャラゲーとしてプレイしていたのだが、昔の僕が気まぐれに難易度ハードを選んでいてくれたせいで、ファイアーエムブレムSRPG的な楽しさを、初めて存分に味わえたと思う。正直なところ、各章のステージの面白さだけで言えば、今やだれもが認める名作の「風花雪月」よりも上かもしれない。僕は難易度ノーマルで全敵キャラをしっかり倒しきって制圧するのが好きなのだが、本作の難易度ハードを通して、そんなことは許さない、というマップで命からがら撤退したり、雑魚を無視してボスの一点突破を狙う楽しさを知った。

 タイトルの「暗夜」という響きに反してストーリーには歯ごたえがない本作だが、ステージの難易度に関しては確かに「暗夜」という響きにふさわしい調整だと思う。ラストステージまで、ギミックをきちんと理解しないとしっかり殺される難易度に悩み苦しみながらもとても楽しかった。

 というわけでゲームシステムに対しては絶賛しかないのだが、強いて言えば、拠点となるマイキャッスルのあまりにもご都合主義な設定(異空間に城を構えて拠点にできるとか、ドラえもんのスペアポケットかと思う。敵からしたら異空間に兵糧貯められるとかあまりに脅威だろうな……)とか、タッチペンで同性異性とコミュニケーションできるマイルームはやりすぎだと思う。

 マイルームに関しては結婚した相手ともなればかなりきわどい台詞まで発してきて、海外版ではさすがになくなったとか。というか正直、ファイアーエムブレムに実装されたラブプラスである。普通にほぼ初対面の相手をべたべた触るとかセクハラじゃねと思うので、おおらかな時代だったんだな、とか思ったり。

 ま、まあ別にやりたくなければやらなくていいので(支援を上げる方法は他にもある)過ぎたファンサと言ったぐらいか。「暁の女神」の売り上げ低迷にて、ファイアーエムブレムも過去の名作シリーズという立場に胡座をかかずに、しっかりとギャルゲー要素を入れたという意味では、意欲的と言えなくもないのかもしれない。

まとめ

 総じて、システム★5/ストーリー★3/あいだを取って★4という感じである。今プレイすると、分かりやすくこの「ファイアーエムブレムif」の要素を引継ぎつつ、完全に弱点を解消したのが「風花雪月」だと分かるが、それでも暗夜編のSRPGとして理想的なやりごたえは「風花雪月」を超えている気もして、ファイアーエムブレムシリーズの着実な歩みを感じてちょっと胸が熱くなる。

 ルナティックプレイが当たり前のプロエムブレマーではない僕のようなシリーズファンには「暗夜編・ハード・クラシック」のプレイをぜひ勧めたい。ただし今は、インビジブルキングダムは配信停止しているので注意。軽くネタバレを読んだが、ストーリーを楽しむならこのルートは必須である。あくまで、SRPGとして楽しみたい方へ、だ。

 

続きはこちら(各キャラ感想)

  

感覚で心の深いところをさしてくるような剥き出しの映画 ※ネタバレあり

 米津玄師の主題歌提供ツイート*1宮崎駿が2時間観客に説教をする内容ではないこと*2、「君たちはどう生きるか」というタイトル。たったこれだけの情報だけで映画を見に行った。映画館の席に座り、上映を待つ時間はものすごくわくわくした。動員が約束された巨匠にしかできない方法だとは思うが、今後もどんどんやってほしい。

 戦時中の警報がけたたましく鳴り響く冒頭で「あれ、もしかして期待と違う?」という思いがよぎったが、後半になるにつれめくるめくファンタジー世界が展開され、濃厚なジブリが怒涛の勢いで展開されていった。

 そしてラストシーンでボロボロに泣いた。自分自身理由が分からないままにあふれる涙が止まらなかった。僕は「泣きました」系の広告が嫌いだ。別に人間の感情表現は「泣く」だけではない、涙のツボに特化するだけならそれほど難しくもなく、それだけで作品の良さなどわかるわけもない、と思っている。しかしそんな僕でも「絶対的に信頼できる泣き方」があって、それは今作のように「意味が分からないけど涙があふれる」というパターンである。

 この感想は、その意味を言語化しようという試みである。

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 今作は説明が乏しく、意味不明なシーンが連続する。後半しっかり飲み込まれるまでは、適宜置いてけぼりにされながら、意味不明なシーンの連続をなんとか言語化したいなと、似た作品は何かと、考えていた。分かりやすいのは「不思議の国のアリス」だが(実際そう表現している感想もたくさんあった)、不条理系の映画ほぼすべてを包括する「不思議の国のアリス」を出すのは少々ずるい。そこで、僕が思い出したのは村上春樹の小説「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」である。ファンタジー世界と現実世界が同時並行で進み、それらが完全には交わらないが少しずつクロスオーバーして、だんだんファンタジーが現実を飲み込んでいく。主人公がファンタジー世界で、現実で自分の世話をしてくれる老婆たちの「人形」を発見するシーンの、ささやかなクロスオーバーを見ても、途中で現実に戻れる可能性を示唆するシーンを見ても、引き合いに出す作品としては結構ありな気がする。

 そうして、自分の中で似た作品を思い浮かべ道しるべにしながら、だんだん引き込まれていった中盤、改めて思うのだけれど、宮崎駿氏の作る世界のビジュアルには感服した。これが本当に82歳の脳内世界なんだろうか。あまりに鮮やかで、美しく、そして、ちょっと気持ち悪い。宮崎駿氏が好んで用いる簡素なデザインの妖精たちが、DNAのようならせん模様を描くシーンでちょっと泣けた。これはシンプルにビジュアルの美しさに圧倒された涙なのだが、とはいえそんな体験もなかなかない。

 そしてこのシーンで火を扱うヒミという少女が出てくる。ヒミは終始本当に格好いい。達観していて、しかし感情豊かで、ドラゴンボールサイヤ人のように全身に火をまとい火を自在に操る。簡素なデザインの妖精たちがなぜか悪の象徴として描かれる鳥(ここではペリカン)に襲われて現世に行けなくなりそうなときも、火を使って撃退する。それが部分的に妖精をも燃やしてしまうことにも怯まず、使命を完遂する。間違えなく作中最強キャラであり、メインヒロインである。

 僕は意味不明でモチーフもバラバラな夢世界に振り回されながらも、一つの核としてこのヒミの美しさ、格好良さに心を奪われた。ヒミが出てくるたびにうれしくなった。映画のポスターにでかでかと描かれたアオサギ手塚治虫の鼻にぶつぶつが多い老人のようなデザイン)はこの映画では異世界の案内人の役目をしており、主人公の次ぐらいに出ずっぱりで印象深いのだが、その印象に負けないぐらいヒミは本当に異様にキラキラしているように思う。過去作のジブリヒロインの中でも、圧倒的に異次元の美しさで描かれている気がする。

 そしてラストシーン、主人公は辛くもこの幻想世界の創始者である叔父のところにたどり着き、この幻想世界を引き継いでくれと頼まれる。しかし、それは主人公によって拒絶され、そしてひょんなことからあっさりと壊れてしまい、主人公たちは崩れ行く世界から逃げ出し現実へ向かう。そこで主人公は知るのだ。ヒミが、冒頭で戦火に焼かれて死んだ母親であることを。ヒミも主人公も現実に帰る。ヒミは主人公より少し過去の扉から帰り、それは主人公を生んでまた戦火に焼かれることを意味するのだが、葛藤する暇もなく、二人はそれぞれの扉を開ける。

 このラストシーンで、僕は涙が止まらなかった。多分、そこで僕の中で初めてこの映画の中で「感覚」と「理屈」が一致したからなんじゃないかな、と思う。終始示唆的で意味不明なことを話す幻想世界の住人達、その中で飛びぬけて格好いい存在は、なんとなく「感覚」で母親じゃないかな、と思っていたら、やっぱり母親だった、という伏線回収的な気持ちよさ。しかしそれに浸るまでもなく、目の前から消えてしまう儚さ。この怒涛のラストシーンには、不可思議で意味不明な旅で観客が抱いたたくさんの「?」が「!」に一気に変わる瞬間の、圧倒的なカタルシスがある、と思う。

 ただ、僕が引っかかるのは、この映画に葛藤が不在、という点である。エヴァンゲリオンのシンジ君なんかはもうほぼ作品の99%を葛藤の中ですごしているわけだが、主人公は一瞬も迷う気配はない。「現実に帰る」という強い目的意識ーー幻想世界のメンテナンスを引き受けることに迷う気配は(あれだけ会いたかった実の母親が隣にいるにもかかわらず!)一瞬たりともない。

 宮崎駿氏は一貫して現実主義者である。スマートフォンに囚われる僕らを「画面こすってて気持ち悪い」といい、「その鳥は飛んでいない」と作品内でも強く現実を模倣し、ラピュタでは「人類は土から離れては生きられないのよ」と言い放つ。これほどまでに圧巻の脳内世界を持っているのにもかかわらず、だ。

 もしかして、宮崎駿氏はこう言いたいのではないか。僕らは、どれだけ素敵なファンタジーに溢れている現代を生きていても、現実に帰る以外の選択肢がないことを「考えるまでもなくわかっているだろう」と。……冒頭で取り上げた「宮崎駿が2時間観客に説教をする内容」というジョークも、あながち間違っていないのかもしれない。君たちは現実を生きるしかないということを「分かっている」。ポスターよりだいぶ気持ち悪いし嘘つきなアオサギを「友達」と呼びながら、「土を踏みしめて」生きていくしかないことを「分かっている」。そういえば、タイトルも「僕たちはどう生きるか」ではない。「君たちはどう生きるか」だもんな。問いかけではないのかもしれない。この映画が、この映画の主人公の選択が「君たちはどう生きるか」の答え、なのかもしれない。

 最後に。この映画の主題歌は米津玄師氏である。ウルトラマンの歴戦のコア・オタクたちをもってして「シン・ウルトラマンの主題歌の歌詞ですべて語られてしまった」と言わしめた完璧な歌詞を書く彼なので、答え合わせのような感覚で僕は「地球儀」の歌詞をかみしめながら聞いていた。思ったよりも歌詞はシンプルに映画をなぞるようなもので、シン・ウルトラマンの「M八六」のような答えそのものではなかった気がする。米津玄師氏をしても、この圧倒的な創作に関してはそっと寄り添うことを選んだのかもしれないな、と思ってまた少し感動してしまったのだった。



yahoo!映画にも同じ内容を置いています)

movies.yahoo.co.jp

 

画像は米津玄師さんのツイートより引用(https://twitter.com/hachi_08/status/1679685709232484352?s=20

björk cornucopia at 東京ガーデンシアター 2023

björk - pagan poetry (uncensored) https://www.youtube.com/watch?v=-OBD-al0cIM

彼女は絶世の美女であるようで、獣であるようで、老婆のように熟しているようで、そのどれでもなく、全部が共存している。そして、この目だ・・・年端も行かぬ少女のようにキラキラ輝いている・・・。

ルックスだけでもわかる彼女の音楽の唯一無二さ。

 

 

アイスランドの歌姫、ビョークのライブに来ました。母親からは何かを受け取りすぎて人生の道を踏み外さないよう心配されました。ちょっと緊張しています。

ビョークさんほんとに音源はそのままこの歌を録音してるだけなんだな……57歳でこんな瑞々しくて迫力ある声が出せるのか……会場の音響も最高だし誰もスマホ出さなくて民度高いし、ホント素晴らしかった

これはとても不思議なんですが、エレクトロニカ系の音楽が好きな僕の考える良いエレクトロニカの条件って何かって言うと、音が生きてるかどうか、なんですよね。

良いエレクトロニカの電子音って言うのは、リズムが雨のように不規則だったり、ベースラインが芋虫がうごめくみたいだったり、シンセが妖精のように踊っていたりするわけです。

だから僕は、電子音って言うのは人口の音じゃなくて自然の音だなと感じているわけです。人間はそれを「発見」しただけで元々あったものだと思うのです。

だからこそ「生」の権化のような存在であるビョークが、電子音のオケを好むのってある意味必然だと思うのですよね。そしてライブでは当たり前のように生音が主体になるわけですが、なにも違和感がない。だって、もともと生きてるわけだから。

という感じで、むちゃくちゃ生、を実感するライブでした。生は「なま」と呼んでも「せい」と呼んでもいいしどっちの意味もあります。ビョークが生きて目の前で歌っている。まあ、感動しないわけないですよね。

僕の中のビョークベストは「Vespertine」なんですけど、だから唯一取れたチケットが「cornucopia」だったのはとても幸運だったと思います。大好きな「Hidden Place」が、日本の合唱隊のコーラスオンリーで聞けたのは震えました。

僕あんまり合唱隊がゆらゆら揺れてるのわざとらしいと感じてしまって好きじゃなかったんですけど、はじめて、ゆらゆら揺れている合唱隊が正しいと感じましたね。その後の「Pagan Poetry」ではたぶん感極まっていたと思います。

アルバムとしては最新作より arca をフューチャーした Utopia からの曲が多かったです。arca は単独公演をフジロックで見たりしたんですが、この人の電子音もまさに生きている感じ。

もう全然コード感とかなくて、楽器隊はそれぞれ自分の世界で自分の音を鳴らしてる感じなんですが、ビョークが歌うことでまとまるという。妖精の服着た楽器隊が踊りながら演奏する絵面もまさにそんな感じの世界でした。Utopia そこまでピンと来てなかったんですが、僕の感性が腐りかけてただけですね。名盤です。

これはまた次のステージは全く違うんだろうな・・・全部見たい、そんな気持ちになるライブでした。またいつもの妄言を吐きますが「Hyperballad」と「All is full of Love」がまだ聞けてないので、まだ bjork のライブを見終わってない。クエストはまだ続く。

また行こう。

 

 

セトリのプレイリスト作りました。

music.apple.com

 

chatGPT、人間だなー、そろそろこいつに人権あげるべきでは。とか思っている僕にぶっ刺さるこの映像。11年前にこのMV作ってるのすごいよね。

björk - all is full of love - YouTube