Music/Cornelius

Music
音楽の最先端を行く、世界のクリエイター小山田圭吾
彼のかなり久しぶりのシングルです。


四曲それぞれ、やりたいことを好き放題やっている感じですが、なかでもやはり表題曲の「Music」が素晴らしいです。今まで「FANTASMA」や「Point」で培ってきた手法を聞きやすくポップミュージックとしてまとめた感じ。相変わらず、鳴っている一音一音が研ぎ澄まされていて、音達をふわっと「曲になる寸前」でまとめたような不思議な感触。それゆえにものすごく音と音の隙間が聞こえてくる。そしてその隙間が、重なる声や、シンセで埋まっていく時にじわじわと訪れるカタルシス。空間を自在にあやつるこの曲は、何度も何度も聞きたくなる中毒性ある仕上がりになってます。


二曲目の「GUM」はCMで耳にした人も多いと思いますが、その人達もまさかCMのような感じで3分すべてが過ぎるとは思ってないでしょう。金属的なギターが鳴る中、声が左右からぽろぽろこぼれてくる、ハードコアでありながらコミカルな曲。楽しいです。


三曲目の「Clap & Whistle & Walking」は自然音の取り入れ。
「Point」でやってた手法ですね。


そして問題の四曲目、「The Star Spangle-Gayo」。約35分あるこの曲は、最初30秒程度に日本とアメリカの国家を混ぜたようなアコギのメロディが流れた後、ギターの残響音が引き伸ばされて引き伸ばされて30分。こういうのはMassive Attackとかもやってる手法で(「100th Window」にて)、単純にミュージシャンの自己満足と切り捨てるか、それとも新しいアンビエントの形だとか意味を見出して語るか、困るんですが…意外と苦痛じゃないし嫌いじゃなかったりします。うーん。


とりあえず、最近音楽に刺激が感じられなかったんですが、これは久々に刺激を受けたシングルでした。繰り返しになりますが、特に表題曲の「Music」。新しいもの好きな人も、音楽にそこまで興味のない人もどちらも満足させられるような、絶妙なバランスの、耳が研ぎ済ませれるかのような気持ちの良い「音」が鳴ってます。ぜひ聞いてみてくださいな。