だから、泣くな。 『NieR Orchestra Concert 12018』9月17日夜公演 感想。

とにかく前半のレプリカント部の締めのカイネが良かった。スタンダードに泣ける流れを目指したとのヨコオ氏の言葉通り、あえて動画を使わず抑えたエフェクトのかかったビジュアルで少しずつ積み重ねながら、カイネで一気に動画を解禁して花開く構成。エミール役の門脇舞以さんが「旅は間違いだったかもしれないけれど、もう一度同じ旅がしたい、みなさんに会いたい」と演技というより本当に泣いているんじゃないか、という熱量で紹介しながら、その台詞にかぶせて始まる美しい旋律。静かな前半から弦の響きが力強い後半へ。その演技と、ボーカルと、映像と、オーケストラ。全てが泣かせに来ている反則の構成に、無条件降伏して泣きました。

後半のオートマタ曲達は、動画演出を解禁して、特に文章の演出が冴え渡っていた。ただ、やはりオートマタは虚無感が強いので、レプリカントの方が素直に感動できた。もしかしたら、順番は逆でも良かったのではないかと思ったり。

オーケストラに映像や声優さんの演技は邪道、という気持ちもなんとなく持ちながら行ったのだけれど、ゲーム音楽だからこそそういう演出が素直にできるという贅沢もあるよなあと素直に感動。とにかく抑えた映像がとても良かったのです。

ゲームの表現力が上がり続け、開発費は上がり続け、でもだからこそ、ここまで心を揺さぶるゲームができて、こんなイベントもできてしまう。
ニーアシリーズの一つの完成形であり、これからのゲームはこういう展開を目指していくのだろうな、と思った。

 

ニコ生でタイムシフト視聴できます。

https://t.co/xrRDpRxZu5

 

追記。門脇さんは本当に興奮していて、アンコール前のコメントでも熱い言葉を述べた挙句、本当は最後の最後に残すべき「本当に、本当に、ありがとうございました」を先に言ってしまって共演者を困らせていた。その辺り含めてエミールが乗り移ったみたいでかわいい。

フジロック感想 day2 7/29 Sun

浅井健一 & THE INTERCHANGE KILL 白
寝坊、というかホテルの送迎バスの時間見誤った。炎天下の中歩いたり待ったり。計画性とは。

 

HINDS 赤
良い空気のガールズバンド。テンションが高すぎず低すぎず。そういうの大事。

 

Awesome City Club
セカオワや禁断の多数決みたいなシェアハウスで男女がいかがわしい感じのリア充お洒落バンドかと思ってたら以外とすごい真摯で、真面目感溢れるステージでした。サブボーカルの女の子がちっこくて可愛い。その真面目さが音楽性にも現れてる感じがして、とても綺麗で考え抜かれてて踊れるが、優等生すぎる感じもしたりしつつも、期待以上でした。

 

serpentwithfeet 赤
色々迷ったが。今回はレッドで雨宿りする妥協プランで行く。僕はSIKEI MUSICという昨今珍しい音楽レビューブログのファンだが、そこの管理人のファラさんが絶賛していたので聞いて、その勢いでライブにも来たのである。

まあ、まだキャリアが長いわけではないので、すごい驚きのあるライブというわけではないが、大音量カラオケと、キーボード(音色はほぼピアノ)弾き語りを行き来しながらものすごい熱量のボーカルを聞かせるライブだった。

いい感じに神聖な気分になったところで「ボブディランに行ってこい」と言いたげに早く終わったので全部見てからゆうゆうと移動。助かった。

 

ボブディラン 緑
雨は降らずとても景色が美しい夕暮れ時。ボブディランは少しフライングで登場した。

ひたすらピアノを弾きながら喋っていた。ほとんどメロディは聞こえなかったし、予習した曲を演っても全然わからなかった。
しかし、その演奏はとても気持ちの良いロックで、決して古くなかった。というか、古い曲を「今はこんな感じのアレンジがかっこいい」という形式でやってるんだから、古いわけがない。しかしそれを、77歳まで続ける意欲というのはちょっと想像ができない。

夕焼けに染まる世界の中、少しうつらうつらしながらボブディランの演奏に酔いしれた。とにかく媚びないで今一番かっこいいと思う演奏をして、フェスに過剰に合わせるわけでも無視するわけでもない絶妙なセトリで、ステージを無言でやり切った。最後はメンバーと手を挙げたが何も言わなかったし、あんまり正面見てなかった。彼がただの偏屈なおじいちゃんだったのか、未だ世界に牙を剥くロックスターなのかは、未だによくわからない。しかしケンドリックラマー同様、何か凄いものを見たという感覚だけが残った。

 

vampire weekend 緑
今の最強、ヒップホップのケンドリックラマー。
古のロックスターでノーベル文学賞受賞のボブディラン。
……でもやっぱり、僕はこういう捻くれて知的でクールなロックバンドが好きだなー(今の流行りじゃないけど)と実感したvampire weekend。彼らがいてこそ僕の今年のフジロックは完成した。
とにかく楽しいし乗れる。オルガンとかパーカッションとかアフロ要素入れたりすごい工夫してるのに不思議と頭でっかちになってなくて気持ちよく、心の底からハッピーになれる。
そして僕の斜め右前には可愛い女の子がいて、曲がかかるたびに「きゃーこれ好きな曲!」と喜んで友人か彼氏か分からない男の子とハイタッチしたりハグしたりしてる。素晴らしい。素晴らしい光景である。頼む。変わって。
そんな彼女は Cousins のリフがなった瞬間、遂に感極まって最前に向かって突っ込んで行ってプチモッシュに揉まれていきました。マジでこの曲かっこいいもんね。しかし、ちょっと切ない。
まあこんな可愛い子を虜にする彼らの音楽は、身体と頭の両方で気持ちよくなれるように設計されていることがよく分かった。頭で「ここでこの楽器とこのビート入れてくるの凄いんだよな」とか考えながら身体はすでに乗っている。普通どっちかだけで相反する要素ですらある気がするのに、凄い。

文句なしのベストだった。メンバーとの離反で新しいアルバムなしでフジに戻ってきた引け目があったみたいで、ゲストボーカルを加えたり、面白いカバー曲のセッションでダンするフロアちっくにしたりとても工夫してくれた。その上「アルバムが出してまたツアーにくるよ」と約束してくれた。また必ず聞きにくるよ。

 

CHVRCHES
疲れたフジロッカーたちの身体と心に染み渡る、クールかつキュートなエレポップ。声も見た目も超絶可愛いボーカル。超満員で見るの諦めましたが、ちょっと聞いただけで沁みました。フジロックも終わるな、というクロージング感とあまりに合いすぎていたし、過去のライブ画像よりドラムを出して音を厚くしてたり実はかなりいいライブだった気がしていて、最後まで聞かなかったのを少々後悔している。

 

というわけで今年のベストは文句なくvampire weekend である。しかし、彼ら単独というより、ヒップホップとロックのレジェンドを連続で観れた上で自分の好きな音楽が何か再確認する流れがとても良かった。まるで僕のために設計してくれたかのような特別感あるフジロックでした。フェスの流れそのものを気に入ったのは初めてだな。

雨の中、巨人のように大きく一人佇むケンドリックラマー。
偏屈な老人なのか誰にも媚びない孤高の天才なのか、掴めるようで掴めないボブディラン。
そしてVampire Weekendで曲が鳴る度飛び跳ねハグしハッピーに踊る可愛い女の子。
それら全てが尊い。音楽は最高だ。

フジロック感想 day1 7/28 Sat

歳をとってよかったと思える数少ないことの一つが、フェスに心の余裕を持って接せられることだ。フェスに寝坊してもいまなら焦らない。カロリーメイトを持って走り回り少しでもたくさんのアーティストを見ようとした僕はもういないのだ。

 

それにしても今年のフジロックは良かった。

 

 

The Birthday と 小袋 成彬 は寝坊して間に合いませんでしたごめんなさい……。

 

JOHNNY MARR GREEN STAGE

最後だけ聞いたけれど気怠い感じのギターロックで好みだった。なんともイギリスを感じた。

 

SUPERORGANISM RED MARQUEE

なんともゆるい雰囲気だった。最初トータス松本を見にホワイトステージまで行って、やっぱり止めようかと思って迷ったのと、ホワイトステージから新しくできた道で戻ったら思ったより移動が長く、一曲聞いたら終わってしまった。30分ぐらいしかライブしてないみたい。

しかしまだEPしか出てなくて、関ジャムで紹介されたぐらいしか目立ったピックアップは無いのにステージは満員でこの盛り上がり。フジロッカーのアンテナは高い。

 

マキシマム ザ ホルモン GREEN STAGE 

以外にもフジロックは初めてだとか。むしろサマソニよりフジロックにいるイメージがあったから意外だった。彼らを見るのはエルレの前座以来だがMC含めて楽しく、演奏も実に自然に首を振りたくなる感じで大満足。僕にとって音源を最後まで聞けたことないがライブは楽しいという部類のバンドである。一番感動した瞬間は恋のメガラバで涼宮ハルヒのダンス映像が流れた瞬間。ああ、こいつらオタクなんだなあと思って。

 

スクリレックス GREEN STAGE 

雨の中のライブなんてとてもロックというと、かなりそれっぽく聞こえはするものの実際雨に降られると身体中ヌルヌルするわ寒いわ暇つぶしにFGOもできないわでなかなかに最悪でした。基本的には晴れた方が断然良い。

 

それでも頑張って待ったスクリレックス、最初の一音が鳴った瞬間にカメラで自撮りをしだす聴衆に苦手なEDMのノリを感じて少々うろたえながらも、すぐに吹っ切れて頭を降りつつ盛り上がれました。多分大きかったのはテンポ。ブロステップのゆったりめなテンポが今の僕にはとても乗りやすい。テンポは緩いけど音は予想通りバッキバキで今の緩い感じの流行りに合わせる気無し。カルヴィンハリスもそうだが、簡単にEDMの仕切り屋ライブを捨てたりはしない。キャラ的にあんまり考えてなさそうにも見えるけど。

 

最後はみんなの待ち望んでいたBangrungで僕も雨でびしょ濡れの髪を振り乱して満足のライブでした。ただ、割と予想通りではあった。

 

スクリレックス+YOSHIKI GREEN STAGE 

土砂降りの雨の中アンコール的な感じで突然YOSHIKIが出てきてEndlessRainの歌詞を合唱させたんですよ。冗談みたいな本当の話。スクリレックスはギターを弾いており、雰囲気的にはスタジオで遊んでたら友達がきてセッションしてみた、というハートフルな感じ。当然、スクリレックスのギターはあんまりうまくない。まあいい。

その後はドラムでコラボ。元曲のすけありーもんすたーずのドラムがパンチ強すぎて、あんまりYOSHIKIのドラムが聞こえない。まあいい。

「サンキューYOSHIKI!!」

「サンキュースクリレックス!!」

と肩を組んで連呼しあう2人を見て、なんか不思議といいもん見たような気分にはなりました。楽屋裏的な意味で。

 

ケンドリックラマー GREEN STAGE 

今や世界で一番売れている音楽はヒップホップ。しかし、言葉の中身が重要なヒップホップにおいて、言葉の壁は実際厚い。

そんな中わざわざ日本でライブしてくれるわけだが、楽器隊たくさん引き連れたりコーラス加えたりして補強するのかなと予想していたが、外れ。
音の厚みを加えるためのドラムをサイドに据えながらも、基本ケンドリックラマー1人が佇んでラップをするだけ。シンプルすぎて逆にびっくり。

しかしさすが現世界最強のラッパー。不思議と大きく見える。最初の曲のDNAから言葉は分からない中でも物凄い気迫は伝わってきた。ニンジャの衣装を来たダンサーや高速ラップがあくまでサブで、伝えたい言葉そのものの内容で勝負している感じ。ちゃんと伝わる。

明日もあるので混まないうちに少し早めに抜けたものの、なんか凄いもん見た感が得られて満足。家に帰ってアルバムを買いましたが、DNAは本当にかっこいい曲だった。僕がアメリカ人だったら、きっとブルーハーブのリリックの様に熱いものがこみ上げてきたに違いない。こうなると自分の英語力の無さが惜しい。

 

 

ベストは今回なしで。みんな良かった。多分ちゃんと予習して行っていたらケンドリックラマーになってたかも、という感じ。

今年も鮎を食べまくりました。初日は二匹。
ホテルでは相部屋になったおじさんが「ケンドリックとボブディランが一緒に見られるのは凄いよ」と仰っていて、気持ちが盛り上がってきたので寝る前にApple Musicで「はじめてのボブディラン」というプレイリストを聞いて予習を始めたのだった。

shinagawa sleepless sight

1 般若ワンマン【留守電】

ここ最近で一番響いたリリックを入れざるおえませんでした。究極掘り下げていけば、同じなんですよ。笑えて泣ける、窪塚の真骨頂。

2 FRUITS CLiPPER

ダフトパンク風ロボットボイスをヤスタカ節で気持ちよく処理した名曲。ヤスタカ氏は何か元ネタがあるものをアップデートするのが凄まじくうまい。

3 SUPER MUSIC MAKER (SA'08S_A mix)

鈴木亜美がヤスタカ氏によって思いっきり声を加工された面白い時代の曲。迷走とも言えるけれど、これはこれでアリかもしれない。

4 the Time is Now

そしてラップにつながる。きっとループ素材を使って一日ぐらいで作っているのだけれど、それもまた現代的なやり方だと思います。

5 Lounge Designers Killer (rmx ver.)

地味にとても好きな曲です。ノイズギターのフレーズがたまらなくおしゃれ。

6 PONPONPON

間奏の手拍子を聴いたときにピンときました。これはループして繋いでくれという、ヤスタカ氏のDJに向けたメッセージだと。

7 チョコレイト・ディスコ

言わずと知れた名曲。どこまでもキャッチー。

8 クロノスタシス

チョコレイト・ディスコからここに強引につなげるのを思いついたときここ数ヶ月で一番な成果物と自画自賛しました。

9 LAST DANCE

LAST DANCEと名の付く曲は大体名曲の法則。きのこ帝国は凄まじく東京の夜を感じるのでどんな強引な手を使っても入れなければいけないと思いました。

10 Honeycom. ware

僕個人の私的なエピソードで申し訳ないのだけれど、大学受験のラストスパートを支えた名曲。キラキラしたメロディと裏声とギターがたまらないです。

11 LOSER

今一番熱い米津さんのリズミカルな名曲。米津さんが嫌いな人を見たことない。

12 夜を駆ける

冒頭のアルペジオが本当に好きです。夜を駆けていく。スピッツの刹那性が前面に押し出された名曲。

13 Stay The Night

まさかスピッツとうまくつながると思わなかったですけれど、実験に成功したと思いました。とにかく「今夜泊めてよ」と連呼している歌詞が切実で、ここまで言ってるんだから泊めてあげて、と思います。

14 Alive (Zedd Remix)

Zeddのライブの最後を締める曲。実にアンセム感があって、終わりをイメージさせます。

15 ババロア

ここであえてスピッツに戻る。これもまた四つ打ちキックが効いてるなか、スピッツの切なさが溢れる名曲だと思います。シングルになっていないのが不思議。

16 Strobolights

やはりこの曲を入れざる終えませんでした。しかし普通に入れるだけだと物足りないので、原曲とリミックス版を重ねて、低音を強めにしてみました。

17 SHININ'(MONDO GROSSO REMIX)

最後はこの人。10分と長いながらも、クラブミュージックの気持ちよさを取り込みつつ、kjがロック色溢れるボーカルを披露しており、バランスのいい曲です。

「かぐや様は告らせたい」を読んで青春を追体験したよ。

かぐや様は告らせたい 1-10 / 赤坂アカ

連載漫画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』|週刊ヤングジャンプ公式サイト

 

完璧な漫画、としか言いようがない。今年に入ってベストと言っていい。

僕はこの漫画を読んで、何回も吹き出して、三回泣いて、そして今となっては脳内にかぐや様を住まわせるに至った。それはもう仕事に支障が出るレベルである。進捗定例会議とかそういう場で今ひとつな仕事をする様を見るにつけ、

f:id:so-na:20180711003254j:plain

とかぐや様が話し出すのだ。これをアウトプットしたら僕は音速でクビになる。

まあ冗談はさておき、この漫画はとても可愛らしい絵柄の表紙であり、一見ありがちな「たまに面白い回があるけれど基本的には可愛い女の子がきゃいきゃいすることで場を持たせるほんわかラブコメ」と勘違いされるかもしれない。しかし「次来るマンガ大賞2017 Web版」の一位という帯は伊達ではない。そんなほんわかラブコメとは一線を画している。

・コメディとして毎話笑わせるクオリティの高さ

好きすぎてコミックス全巻揃えた挙句、ヤングジャンプで最新話を読むに至ったわけだが、読んでいると思わず吹き出しながら顔がにやけてしまいコンビニ店員に不審な顔をされるぐらい面白い。

・感動系エピソードは胸を打ち比喩ではなく涙がこぼれる

銀魂などでは、ギャグ回のキレに感動系エピソードが追いつかず「感動系エピソードを書いて回数を稼ぎながらギャグのネタを考えているのでは?」と邪推されることもしばしばだが、かぐや様ではそんなことは一切ない。むしろ心にぐさぐさ刺さり泣けて来る。「花火の音は聞こえない」でググってみてほしい。数多の感想がヒットする。そう、感想を書かざるおえないぐらいにぐっとくるのだ。選挙編や体育祭編についても、個人的には俺ガイル(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。の略称)にも負けず劣らずな青春群像劇と断言する。奇しくも、俺ガイルとの共通点として「リア充な面々もきちんと人間として描く」というところが挙げられる。人間がきちんとかける作者は当然リア充も単なる記号として扱ったりはしないのだ。

・ラブコメではキャラを最大限生かしたときめきを

とにかくかぐや様は可愛いが、それ以外の男性キャラ含め全員が素晴らしくキャラが立っており、それぞれに長所と短所があって矛盾がない。「良いラブコメは、男どもが面白い」とは九巻の帯の文句だが、全くその通りである。主人公の会長に関しては「努力家」キャラをうまく使って「ひどいセンスから努力で人並みになる」定例エピソードがある。これがまた面白い。この時だけ鬼教官と化す藤原書記がまた面白くて可愛いのである。ラブコメは登場人物命であり、キャラに魅力がなければ当然ときめかないが、この漫画はギャグパートでキャラを立たせておいてそれを矛盾なくラブロマンスに紐づけてくる。ときめきすぎて胸が苦しくなる。

・花火の音は聞こえないという屈指の名作短編

どうしても語らざるおえないので、2000年代のベストラブロマンス短編と言ってもいい「花火の音は聞こえない」がいかに優れているかを書くと、まず、この「花火の音が聞こえない」が収録されている五巻は全て夏休み編であり、不器用な会長とかぐやがずっとすれ違い続ける。つまり、主人公たちは、会えない。

これはすなわち「花火の音は聞こえない」回を最大限にアシストするための「じらし」なのだが、思い出してほしいのはこれが週刊連載(ヤングジャンプ)で、本誌ほどではないにせよアンケートに左右されるということである。この大胆な構成はよほど自信がないとできない。しかしすれ違う回もまた普通に面白いのでアンケートの心配は杞憂。藤原書記がラーメンを食す回は屈指のギャグパートとして名高い。

そんな単話でも成り立つギャグパートはすべて美しく「花火の音は聞こえない」回に収束していくのである。箱入り娘のかぐやが「仲良しの生徒会メンバと花火を見にいく」その切実さはものすごく、かぐやがある事情で一旦花火を諦めて浴衣のままベットに寝転ぶシーンはあまりの表現力で胸が苦しくて泣きそうになる。ちょっと泣いた。

余談だが、赤坂アカ氏はイラストレイターとしても名高く、今はボカロ人気の一角を占めている IA(イア)のデザインもしている。

www.vocaloid.com

デザイナーとしても優れているので、漫画のコマ一つ一つの表現力がすごいのである。漫画の一コマでこんなに心をかきむしられるとは。

そして最後のシーン。一巻の前半部分を丸々使った「焦らし」が最後のカタルシスに変わる珠玉のラストシーンは、ぜひその目で確かめてほしい。BGMは米津玄師の「打ち上げ花火」をオススメする。

 

と、そんな素晴らしいコメディ、ラブロマンス、感動と全方面の漫画力に溢れるこの作品はそれでいて、

・ただ可愛らしい絵を眺めるだけの漫画としても成立するぐらい可愛い

という側面も持っている。なんと間口が広い。

 

もともとドラゴンボールでなくセーラームーンで育った僕は、ラブコメが世間一般の男性より好きであるとは思う。とはいえ、この漫画は間違いなく規格外だ。まだ売れるしこれからもっと売り上げは伸びる。何はともあれ、全巻揃えてほしいと思う。そしていずれくるアニメの感想を語ろう。きっと一期の最終話は「花火の音は聞こえない」だ。それはあの化物語の最終話で「あれがデネブ・アルタイル・ベガ」と指差す回と同じか、もしかしたらそれ以上に、視聴者の心に残ると思う。

社会人普通の本棚。

アニメとゲームの本棚があって、小説と漫画の本棚がないことに気づいた。


<評価については以下の通り>
☆☆☆☆☆ 記憶に残したくない
★☆☆☆☆ 全く合わない
★★☆☆☆ 読むの辛い
★★★☆☆ 楽しく読んだ
★★★★☆ オススメ
★★★★★ もはや僕の一部

 

 

[あ行]

New!! アクタージュ 1-2/マサキタツヤ,宇佐崎しろ
アッシュベイビー/金原ひとみ ★★★☆☆
失はれる物語/乙一 ★★★★☆
音楽の海岸/村上龍 ★★★★☆

[か行]

限りなく透明に近いブルー/村上龍 ★★★★☆
New!! かぐや様は告らせたい/赤坂アカ ★★★★★
刀語 第十二話 炎刀・銃 ★★★★☆
風の歌を聴け/村上春樹 ★★★★★
きらきらひかる/江國香織 ★★★☆☆
きみとぼくの壊れた世界/西尾維新 ★★★★☆
クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識/西尾維新 ★★★★★
5分後の世界/村上龍 ★★★★☆
号泣する準備はできていた/江國香織 ★★★☆☆

[さ行]

好き好き大好き超愛してる/舞城王太郎 ★★★★☆
零崎双識の人間試験/西尾維新 ★★★☆☆

[た行]

ダンス・ダンス・ダンス(上・下)/村上春樹 ★★★★☆

[な行]

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い ★★★☆☆
のだめカンタービレ(♯8)/二ノ宮 和子 ★★★★☆
ノルウェイの森/村上春樹 ★★★★★

[は行]

New!! BUTTER/柚木麻子
博士の愛した数式/小川洋子 ★★★★☆
ハリー・ポッターと謎のプリンス(上・下) ★★★☆☆
New!! 必修すぎる文をだいたい10ページぐらいで読む/ドリヤス工場
New!! 宝石の国 1-8/市川春子
星へ落ちる/金原ひとみ ★★★☆☆ 

[ま行]

[や行]

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12/渡 航 ★★★★★
New!! 有名すぎる文学作品をだいたい10ページぐらいの漫画で読む/ドリヤス工場
よつばと! 4/あずまきよひこ ★★★★☆
よつばと! 5/あずまきよひこ ★★★★☆

[ら行]

[わ行]

[0〜9]

1973年のピンボール/村上春樹 ★★★★☆

みんなの大好きなクソコードを見つけたので紹介するよ

今日は皆さんの好きなクソコードを見つけたのでご報告しようと思います。ただし、プログラムのことを全くわからない人にもわかるようにね。

 

ここに人間の性別を見分ける機械がありました。
しかし男の子と女の子の違いとはなんでしょうか。
真面目に考えることに疲れた技術者は、最後は自分の好みに従って、こうしました。

 

性別を判定するぞ!
→髪の毛が長いから女の子

 

そして髪の長い女の子で試験をして合格としました。

 

ある時、その機械を拡張して女の子だと花を渡す機能を付け加えました。花をつかんだあと同じように性別を判定しなければいけませんが、過去にどうやって女の子と判断したか忘れました。過去にこだわらず前だけを見るタイプの技術者だったんですね。

 

性別を判定するぞ!
→ワンピースを着てる女の子

 

ちょっと結果が良くなりそうですね。そして髪の長いワンピースを着た女の子に花を渡す姿を見て、技術者は満足し、いい仕事をしたと満足感に包まれました。

 

ある日、佐藤さんというワンピースを着た髪の長い男の人が通りかかりました。機械は花を渡しました。

 

間違ってる!佐藤さんは怒りました。

 

技術者は急いで、機械に一つの命令を加えました。

 

「ただし佐藤さんは女の子ではない。」

 

ちなみに女の子を判断する場所は二個ありましたが、技術者は佐藤さんに怒られて焦っていたので一箇所しか直しませんでした。

 

そして次の日にはそのことを忘れました。

 

ある日、僕がその機械の前に立ちました。
僕はわざと髪の短い女の子やジーンズをはいた女の子を前に立たせて、花を渡さないことを確認し、

 

静かに

 

機械から花を渡す機能を削除して

 

技術者を会社の名簿から削除して

 

手向けの花を渡しました。

 

 

 

 

 

(フィクションです)