ディズニーランドへ③ 午後からのディズニーシー

目を覚ましたら、9時19分になっていた。
朝の清潔な空気には似合わないため息をつくと、フロントに電話して、
チェックアウトが12時だと再確認。またベッドに横になってぐだーっとした。


ディズニーシーに行かなきゃ。


悪夢のように長い東京駅の乗換えを経て、やっと到着した舞浜駅
荷物を何処に置くかでまた喧嘩しそうになったが、なんとかロッカーも見つかって。
モノレールから人生初めての、ディズニーシーが見えてくる。
ふむ、ランドよりシックな感じだ。


入り口ではそろそろパレードが始まる頃だからか、ミッキーやミニーの着ぐるみが、
ああ違った、ここは夢の国だから、ええと、ミッキーやミニーが
相変わらず元気に手を振っていた。
個人的にはなんとなく主人公であるミッキーと写真を撮っておきたかったが、
あまりに人だかりができていたので、グーフィーで我慢することにする。
しかし、その妥協が伝わったのかグーフィには嫌われたようで、順番をすっ飛ばされたりした。
夢の国の住人も、意外と人間の好き嫌いはあるらしい。なんて思ったりして。


寒さのせいか、思ったより人は少なく、どのアトラクションも一時間待ち程度で乗れた。
これは寝坊して来た僕らにはありがたい。
けれど、どのアトラクションも絶叫系がダメな人には優しくない激しいものばかりで、
まあ僕はダメと余裕の中間ぐらいの人間なので、とりあえず乗るのだが、
待っている間にちょっとした恐怖を味わうことになった。


「これはフリーフォールタイプのアトラクションです。心臓の弱い人は……」
「急上昇、急降下、360度回転があります。苦手な方は……」


もういい、もういいから、あの、もういいです。ごめんなさい。
しかし、なんでこんな不気味かつ恐怖を煽るようなアトラクションばっかりなんだ。
パレードでミッキー達が出てこなかったら、ディズニーだということを忘れそうだよ。


とはいえ、そのパレード(というかショウ)はさすがに楽しかった。


まず、音楽がとてもいい。
リズムが雄弁で力強い音楽を聞きながら、カラフルな演出を見ているとき、
それは僕らが魔法の国にいることを、もっとも感じさせてくれる瞬間だった。
特に夜のパレードは圧巻で、まああまりミッキーとかは出てこないのだが、
火と水と光で、シーならではの美しい世界を演出した。
まるで自分の旅行が映画のように思えてくる瞬間であり、素晴らしいエンドロールだった。



お土産もそこそこに、夢の国ディズニーシーを出る。
ゆったりとゲートを振り向き、名残惜しそうにその門を見上げる。
という時間は残念ながらなくて、時間の使い方を間違えた僕等は焦っていた。
まったく、自分の旅行下手と気の利かなさには心底うんざりだ。


そんな僕でも、何とかバスに乗ることはできるものだ。
一息つくと、安心感と充足感がこみ上げてきて、長く細く息を吐いた。
大丈夫、彼女の機嫌もそのうち直るだろう。
夜の海をバスはゆらゆらと泳いでいく。