日記22

朝、僕は大学でテストを受けるために駅にいて、
そこにピンクで短パンでニーソックスを履いた女の子を見た。彼女には見覚えがあった。
全体的にゴスロリ的な匂いのする格好で、肌が少し赤みがかってて、
かなり明るい茶髪が丸顔を隠すように両側に下りている。
そして馬鹿でかいヘッドフォンをして、口元を見ると相変わらず声を出さずに歌っていて、
その手には「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を持っていた。
とても違和感のある組み合わせで、なんだか楽しい気持ちになった。


けれど次の瞬間、彼女はうんざりしたように首を振ると、本をバッグに放り込んでしまった。
買ってはみたものの、やっぱり興味がわかなかった、とでも言いたげに。
ベンチから立ち上がり、口笛を吹き始める。
なんだか、どこかで聞いたことがあるようなメロディだった。


そして電車がやってきた。
彼女は口笛を吹きながら、駅のホームをまっすぐ歩いていった。すとん。


彼女はそれが当たり前であるかのように自然に、線路に降り立った。








そこから先は真っ暗だったことしか覚えていない。


彼女が寝ていろって怒っているので、僕は寝ることにする。
さよなら。おやすみなさい。


「まっくら」2007.07.31.0:00am