Rewrite 1st/2nd season を見たよ

★★☆☆☆

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金髪オッドアイロリ美少女が戦闘をする図。

 

key こっちに進むのか……というのが大まかな感想。

これまでの「恋愛ゲームのルート分岐にきちんと意味を持たせるシナリオ」「頭のちょっと弱いロリ系女の子」という根幹は変わらずにセカイ系能力バトルにシフトした今作。これを見ると、シャーロットはこの後継だなと思ったりする。 ただ、そもそもkey の登場人物を能力バトルの世界に放り込むのは無理がある。ありすぎる。風子ちゃん内戦地域に放り込んだら3秒で死ぬよ多分。眼帯ロリ系美少女がダンディなおじさまと銃で打ちあうのはさすがに絵的にキツイ。担当会社のCC作画によるモンスターもだいぶキツイ。5年前ぐらいの作画? という感じ。

 

ただそんな中でも「keyらしさ」というか、センチメンタルを畳み掛ける過剰さとか、理屈は分からないがとにかく泣けるシーンとか、環境問題に見せかけた人間賛歌というテーマとかその辺にいいものはあるんだけれど、いかんせんCLANNADリトバスと比べると舵を誤った感じがすごいです。keyの「素人っぽさ」が悪い方向に出ている気が。これだと原作をやる気になれない……。

社会人映画本棚。

<この記事の見方>
・評価については以下の通り
☆☆☆☆☆ 時間の無駄
★☆☆☆☆ 全く合わない
★★☆☆☆ 視聴が辛い・オススメできない理由あり
★★★☆☆ 楽しく視聴できた
★★★★☆ オススメ
★★★★★ 大好き・影響を受けた

2016年視聴

■ シン・ゴジラ ★★★★★
  シン・ゴジラ感想1 - 日本の底力を見せつける傑作 ★★★★★
  シン・ゴジラ感想2 - よくある質問調で
  シン・ゴジラ感想3 - エヴァ:Qとの関連性(3.11以降の日本で希望を見出す物語)
■ 君の名は。 ★★★☆☆  

■ 聲の形 ★★★★★
■ 何者 ★★★★☆
■ この世界の片隅で ★★★★★
■ 劇場版 艦これ ★★★☆☆

(過去作)
■ ダンサー・イン・ザ・ダーク ★★★★☆
■ ガメラ2 レギオン襲来 ★★★☆☆
■ 桐島、部活やめるってよ ★★★★☆

2017年視聴

■ ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 ★★★☆☆
■ ソードアートオンライン オーディナルスケール ★★★☆☆
■ 美女と野獣 ★★★★☆
■ ノーゲーム・ノーライフ ゼロ ★★★☆☆
■ ダンケルク ★★★★☆
■ 劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel I. presage flower ★★★★☆
■ GODZILLA 怪獣惑星 ★★★★☆
  GODZILLA 怪獣惑星 を見たよ - 夕べの夕陽の眩しさの理由。
■ スター・ウォーズ/最後のジェダイ ★★★★★
  スター・ウォーズ/最後のジェダイを見たよ - 夕べの夕陽の眩しさの理由。

2018年視聴

■ 勝手にふるえてろ ★★★★☆
■ シェイプオブウォーター ★★★☆☆
■ ボヘミアン・ラプソディ ★★★★☆ 

(過去作)

■ 打ち上げ花火下から見るか横から見るか ★★☆☆☆
  打ち上げ花火下から見るか横から見るか。感想 - 夕べの夕陽の眩しさの理由。
■ 夜は短かし歩けよ乙女 ★★★☆☆
■ レディプレイヤーワン ★★★★☆
■ シャイニング ★★★★☆
■ 銀魂 ★★★☆☆
■ さよならの朝に約束の花を飾ろう ★★☆☆☆
■ 劇場版 PSYCHO-PASS ★★★☆☆

 

続きはドラえもんゴジラジブリ

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GODZILLA 怪獣惑星 を見たよ

ゴジラ映画というのはそれはそれはたくさん作られていまして、

動員数が振るわず打ち切られても必ず誰かが復活させるという点では、

まさにゴジラのごとく不死身の幸せなコンテンツなのだけれど、

たくさん作られているからゴジラの「定石」というのは複数あって、

「これこそゴジラ映画」という条件は人それぞれ異なるのである。

 

この映画の「これこそゴジラ映画」という要素といえば、やはり、

宇宙人が出てくるハードSFという部分である。

しかし、これは僕のようなゴジラオタクはともかく、

大衆受けはそんなによくない要素なのだ。

 

ゴジラ映画作品の一覧 - Wikipedia

上記サイトから、宇宙人要素が入っているゴジラ映画を抜き出すと、

怪獣大戦争X星人

怪獣総進撃:キラアク成人

・地球攻撃命令・ゴジラガイガン:M宇宙ハンター星雲人

ゴジラ対メガロ:同上(名前のみ)

ゴジラ対メカゴジラブラックホール第3惑星人

メカゴジラの逆襲:同上

ゴジラ2000 ミレニアム:ミレニアン

ゴジラ FINAL WARSX星人

なのだが、なんとなくパッとしないラインナップだと思わないだろうか。

 

昭和ゴジラは邦画不振による予算削減と、

過度な子供狙いによる陳腐化が蔓延してた頃の作品が多く、

ミレニアムシリーズはすべてパッとしない。

逆に、快進撃を続けた平成のVSシリーズでは、未来人や小美人はでてくるものの、

宇宙人は一切出てこなかったりする。

 

というわけで、ゴジラが宇宙人を取り扱う時には、

あまりヒットしないの法則があるように思う。

 

ゴジラはそもそも生物のくせに放射熱線というビームを吐くSF生物なので、

ゴジラがいる世界には宇宙人だっていていいだろというのは、

至極妥当な論理だと思うのだが、

ヒットしている噂を聞くとゴジラを見にいくようなライト層には、

宇宙人まで出してしまうと荒唐無稽な印象になるのかもしれない。

未来人や小美人はセーフでもね。

 

さらに悪いことに、今回のゴジラは緑に侵食されきった10000年後の地球がテーマだ。

これも売れないゴジラ映画にありがちで、

都市部の破壊がないゴジラ映画はヒットが少ない。

やっぱりゴジラには街を蹂躙して欲しいものなのだろう。

 

しかし、個人的にはこれらのネガティブ要素が合っても結構楽しめた。

それはやはり虚淵氏得意の「仕掛け」が大きい。

この映画は、90分間ほとんどがすべてフェイントでできているのだ。

まどマギの3話までをまとめた映画というと正しいか。

最初の方の地球を捨てて宇宙に旅立った人類の辛気臭い旅描写も、

(白状するが僕はここで少し寝た)

再び地球に降り立ち、ゴジラと貧相な武器で頑張って戦う場面も、

すべてはフェイント要素でしかないのである。

 

この映画の見所は最後の10分にある。

真のゴジラが地中から現れ、全員がなすすべもなく敗走し、

傷ついた主人公がメカゴジラの断片とSF的美少女を目にする。

 

マミさんが首を千切られて

「これはハッピーな魔法少女ものではなくハードSFです!」と

宣言したシーンさながらに、

 「これはハードSFではなくゴジラVSメカゴジラの三部作バトル映画です!」

 と宣言するのである。正直、しびれた。

男の子はいつになってもメカゴジラと美少女に弱いのである。

 

とはいえ、実はメカゴジラというのも、その知名度に反比例し、

こけた映画の方が多いゴジラ要素だったりする。

実は、大成功したメカゴジラって平成のVSメカゴジラだけで、

そのあとは釈由美子乗せたりして散々なのである。

(まあ、僕は機竜も結構好きなんだが・・・)

多分、モスラキングギドラに比べて女の子に響かないから、

「家族受け」しないんだろうと思う。

 

だから、この映画三部作は切ないことにきっと最後までヒットしないだろう。

しかし、シン・ゴジラが王道要素でヒットすることを見越し、

ゴジラ映画のニッチな要素側で突っ走ろうとするその「オタクっぽさ」と、

まるまる一作を三部作の序章として贅沢に使った仕掛けは、

さすがの虚淵氏の匠の技が光っていて素晴らしいと思う。

眠くなる宇宙船部分はもう少しなんとかなった気がするけれど、

まあ、まどマギも2話だけ見てるとだるいしこんなものかも。

 

さて、次回は「決戦起動増殖都市」。

タイトルだけで500点だ。

これでメカゴジラでてくるはずだと思うとわくわくが止まらない。

多分今回より上映館数減るけれど、

多分今回より楽しみにして僕は初日に見にいくのだろうと思う。

 

 

movies.yahoo.co.jp

◇Yahoo映画にも投稿しました。

 

マジカルミライ 2017 9/3 午後に10周年の初音ミクをみたよ

初音ミクのライブってそれぞれ色があって。

ニコニコ動画の雰囲気と演出が主体のボカロライブとか、都内で行われているボカロDJのライブとか、いろいろあるんですけれど、その中でも特に「ミクがそこにいる感じ」を大事にして演出するライブ、というのがマジカルミライ、というイメージ。

つまり、ミクは早着替えも空飛びもなんでもできるけれど、それをあえてしないで、基本的に制服で踊りながら歌う、という演出をするのです。

今年の初音ミク10周年、とりあえず、10年経ったミクさんを見るという意味では、このライブがベストかなと思って見に行きました。

 

席は真ん中の後ろの方。ミクはとっても小さくしか見えないけれど、そのせいもあってもうミクがそこにいるようにしか見えない、というのが後ろの席のいいところ。

なんか普通にミクがライブステージにいるような感覚にどきどきします。

 

選曲はミクのテーマソングとも言える「みっくみっくにしてあげる」のロングアレンジ版からはじまり、やはり10周年ということで、初音ミクをボーカルに据えた名曲が多かったように思います。

 

マジカルミライは初音ミクというアイドルのライブという感じなので、僕好みのアーティスト性が前面に出た曲は少なめなのですが、それでも、

・おもちゃ箱のような音がどこかエレクトロニカっぽい「ツギハギスタッカート」

・北欧のキラキラした音とメロディがどこまでも美しい「Birthday」

・90年代のロックを歌いこなすMEIKOが格好いい「忘却心中」

のような曲を選んでくるところに、選曲者の愛を感じたり。

 

そして僕が一番期待していた過去曲アーカイブ5曲。毎日セトリが違うとのことで話題になりましたが、千秋楽の5曲は、

・お茶の間についにミクを届けた「千本桜」

・ボーカルを変えるとアレンジも変わる試みがオシャレな「右肩の蝶(レンver.)」

・アイドルにはそぐわないガチロックでリンのキンキン声が生える「孤独の果て」

・どういう発想からこの曲ができたか謎な「いーあーるふぁんくらぶ」

・ダブルラリアットという言葉から「自分の手の届く範囲」を歌うという発想が鮮やかで感動的な「ダブルラリアット

と、いう感じで、右肩の蝶とダブルラリアットが聞けたのが特に嬉しかったですね。というかダブルラリアットのだんだん手の届く範囲が広がっていく歌詞が初音ミクの10年と重なって勝手に感極まってました。もうだめだ、思い入れが強すぎて冷静じゃない。

 

そこからは新しい曲達を挟み、メルトで一旦閉め。メルトのギターをアンプに刺すイントロの音、何度聞いてもいいですね。ギターをアンプに刺す音から始まるのに、そのあとの音が電子音から始まるのすごく面白くないですか?

 

アンコールは、実に皮肉な10周年のプレゼントで、そのヒップホップなノリが異彩を放つ「砂の惑星」とlivetuneの曲で大団円。

 

アンコール2は、歌詞が前面に映し出されて、みんなでハジメテノオトの合唱でした。いや、10周年でこの曲が使われるのはもはや予想通りなのですが、会場でみんながミクと一緒に歌い始めてやっぱり泣いてしまいました。この曲はそもそも「機械が感情を理解しないゆえの純粋さ」という僕の弱い部分を刺してくる上に、

変わらないわ あの時のまま

ハジメテノオトのまま

という歌詞が10年越しに響くのだから、それはもう無理というものです。ボロボロでした。

 

そして。最後にミクが挨拶したのですが、嗚咽に耐えながら泣きながら話すという演出(ここはあえて僕は演出と書きますよ)があって、なんだかちょっとくすっと笑ってしまいました。

 

基本的に話すのは苦手で、初音ミクに自然に喋らせるのは本当に一部の人しかできなかったところから始まったミクが、10年の時を経て、声優さんの演技をトレースして、本当に涙声で話すことができるようになって。でも、それはやはりトレースで、どこか初音ミクの本当の声(初音ミクの魂のようなものがどこかにあるとして、ですが)ではないような気がして。

そんなぎこちなさが、ふとかわいいなと思ったのでした。

 

初音ミク10周年。何かが変わるようで、実は何も変わらないのかも。

今でも、ミクはぎこちないし、早口は得意だけれど感情を表現するのは下手だし、

でもそんな彼女にしか歌えない歌があって、

その彼女が歌ってくれることによって、

これまでかかえこんでいた自己を表現することができた人たちがいる。

そんなことを改めて感じたライブでした。

 

www.nicovideo.jp

 

追伸

親切に後ろから肩ポンポンしてくれて「キンブレ(光るやつ)使いますか?」と言ってくれて、使い方に迷うたびに後ろからさらに肩ポンポンして教えてくれたお兄さん、本当にありがとうございました!

お兄さんのおかげで10周年にサイリウム振れなかったという、心のしこりを残さずに済みました! これからは、物販で買えないことも覚悟して予備持っていきます!

10年経ってもまだ聞いているボカロ曲10選

初音ミク10周年に神々の遊びが起こっていて、今日のwowakaさんの再訪があまりに嬉しすぎて、気持ちが盛り上がりすぎたので、未だにふとした時に聞いてしまうボカロ曲10選やります。なるべく古い曲を選んでいるけれど、10年経っているとは限らないのはご愛嬌。

nico.ms

■目次

ミクトロニカ -ravioli mix- /林檎

nico.ms

いきなり全曲聞けない曲を選んでしまって申し訳ない。
タイマーをこの曲の始まりに合わせてみたので聞いて欲しい。
この曲の良さを布教したくてこの記事を書いたと言っても過言ではない。
ボカロとエレクトロニカの親和性はもともと高く、
中でもエレクトロニカの名手たるkiichiさんの初投稿曲。そのRemix。
変拍子とうねるベースがうまく合っていて、
ラーラララッラというコーラスの透明感が素晴らしく、
最高のJazztoronikaに生まれ変わった名Remix。

このコンピレーション他の曲もいいので、買って聞いてください。
願わくばiTunesStoreで配信して欲しい。

https://www.amazon.co.jp/retimer-feat-Hatsune-Miku-OSTERproject/dp/B003ZFL1ZU

可能世界のロンド/milestones

www.nicovideo.jp

変拍子ドラムンベース
しかもサビがほぼなく2種類のメロディの繰り返しでありながら、
30万再生を叩き出す異常な中毒性を持つ名曲。

こういう曲を生むことがボカロの素晴らしさのひとつだと思うのです。

ふとした時に聞いて頭をゆらゆら揺らしたくなる。
しかも自分が作曲でよく使うGaragebandのエレピとスネアが聞こえる。
同じ音源でなぜこんな曲が生まれるのか。

作曲って魔法なんですかね。

my computer/temporu

www.nicovideo.jp

僕は同じフレーズの繰り返しが本当に好きですが、
この曲に関しては本当に特別です。
ディストーションをかけまくったベースとキックと、
とても滑舌が良いボカロの調整が特徴のtemporuさんですが、
この曲はそれだけではなく世界観がとても独特。
初音ミクがプログラムとして(AIとして)、
膨大な記憶を探し続けるような、
機械の持つ切なさとかひたむきを感じるのです。

ボーカロイドが歌うことの価値、必然性をこれでもかと感じる一曲。

Packed Memory In A Small Toy Box/ryuryu

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おもちゃ箱をひっくり返したような、という言葉が、
ここまで似合う曲ってあったでしょうか。
大切な思い出をおもちゃ箱にしまって歩き出す、
そんな切なさを全開にする三拍子エレクトロニカ

ryuryuさんの曲の抜群の透明感と北欧風のメロディに最高に酔える一曲。
レコードだったら擦切れるぐらい聞きました。

ryuryuさんはこの曲もおすすめ。

【初音ミク】Past Days Sparkle【オリジナル】 by りゅーりゅー 音楽/動画 - ニコニコ動画
歌い出しの「きみが」ですでに最高とわかる一曲。

boku-boku/AVTechNO!

boku-boku (feat. Hatsune Miku)

boku-boku (feat. Hatsune Miku)

  • AVTechNO!
  • エレクトロニック
  • ¥150

2007年に突然始まったボカロブームで僕が一番最初に思ったことは、
ボカロならではの曲が聴きたい、高速歌唱とか合いそうだ、ということ。

予想通り、高速歌唱でアンインストールの切なさを歌う

初音ミクオリジナル曲 「初音ミクの消失(LONG VERSION)」 by cosMo VOCALOID/動画 - ニコニコ動画

という曲が人気を博していて
「ああ、うますぎる。この曲に高速歌唱というアイディアは終わったかな」
と思ったのですが、それは誤りでした。

僕が最初にこの曲を聴いた時の衝撃。
ぶっといドラムンベースの中、
初音ミクは高速歌唱で自問自答していたのです。
それはまるで混乱の中ひたすら高速で思考が回る感覚を
そのまま音楽にトレースしたようで、
こんな高速歌唱の使い方があったのか、と衝撃を受けました。

ナナナナ/テンネン

www.nicovideo.jp

鏡音リンのキンキンした歌声とFunk、とってもあう。
そして、この曲のすごいところはループ素材でできていること。
作曲ソフト上では、コピー&ペーストで楽チンなんですが、
ではそれでいい曲が作れるかというと全然作れません。

この曲はそのループ素材の組み合わせで、
ぴったりに合いきらない「ずれた」部分がFunk的なノリを生んでいる。

それでいて歌詞に

「どこかずれてるような 気がしてたけど」

なんていれちゃってそれをエロ方面に解釈しているという、
もはやセンスしか感じない一曲。

ローリンガール/wowaka

www.nicovideo.jp

この記事を書くきっかけになったwowakaさんの中でも、
とびきり大好きな一曲。
商業CD版も持っているけれど、この少し素人っぽいMIXの、
低音がスッカスカで耳に痛いドラムがなるニコニコ版が一番好きです。

wowakaさんはZAZEN BOYSの向井氏が好きで、
ある意味この曲は「透明少女」など向井氏が度々テーマとする、
少女とそのイメージにつきまとう「刹那的なイメージ」を、
性急なピアノに乗せた一曲。

wowakaさんは以下のインタビューで、 

natalie.mu

wowaka 「wowakaみたいな曲を書けばいいんだろ?」みたいな(笑)。 

とはっきり言っていますが、これはナルシズムでもなんでもなく、
本人が言いたくなるのがわかっちゃうぐらいそのままの事実です。
wowakaさんの曲はフレーズのループ、チープな電子音、
性急なミクの歌に特徴があって簡単に真似できそうと、
思わせる部分があったんですよね。

そこで、心ないフォロワー(心底好きでやってるというより、
これなら作れそう、受けそうという感覚で作ったと感じさせる曲達)を、
死ぬほど産みました。EDMブームならぬ、wowakaブーム。

でも、それらは到底オリジネイターを超えるものではない、
wowakaさんの曲にあるものが、こんなに似せてるはずなのにない。

その根底は、歌詞だったり、
この曲の持つ言いようのない焦燥感だったりするのだろうなと思います。
未だに心から離れない最高のロックソングです。

mugs/古川本舗

www.youtube.com

まだまだロックいきます。古川本舗のmugsです。

逆再生のギターを多用し、静かで美しいメロディが特徴の古川氏ですが、
この曲に関してはおそらく英語を日本語に聞かせるような方法で、
ミクのぼやけた滑舌をさらに曖昧にすることで、
不思議な浮遊感を出しています。

そしてこの曲は間奏のピアノが最高なのです。
叩きつけるようなどこか投げやりな連打が、
この曲を僕が「ロック」と分類した所以なのはわかってもらえるかと。

「一年に数回、どうしようもなく聴きたくなる、そんな曲。」

というYouTubeのコメントは僕じゃないです。あしからず。

NoLogic/ジミーサムP

www.nicovideo.jp

とにかく最初のギターの軽快なカッティング。
それがひたすら繰り返される、ロックのお手本のような曲。

彼の曲はとにかくメロディがポップなのですが、
この曲に関しては加えてカッティングが良すぎる上に、
ギターソロもこの上なくおしゃれで、
もうこの曲を聴いていたらおしゃれなんじゃないかと、
勘違いしそうになるぐらいに全てがポップで完璧な一曲。

最初こんなに好きになると思わなかったのですが、
気がついたら2009年から8年、今だにふと思い出して聞く一曲です。

シンプルでポップ。その偉大さがわかります。

アストロノーツ/椎名もた

アストロノーツ

アストロノーツ

  • 椎名もた
  • アニメ
  • ¥250

最後はロックバラードで締めます。
若くして亡くなってしまった椎名もた氏。

でも変にセンチメンタルにする気はありません。
とにかくこの曲を聴いてほしい。

あえてニコニコ動画版の以下のリンク

【初音ミク】アストロノーツ【オリジナル】 by 椎名もた VOCALOID/動画 - ニコニコ動画

を最初に貼らなかったのはわけがあります。
この配信版で手直しされたバージョン、
中盤がむちゃくちゃ変わっているのです。

淡々と自分の心情をこぼしていくようなこの曲、
中盤に終始淡々とした歌と対比するように、
ものすごい勢いで逆再生のギターとドラムが、
曲ぶっ壊すように鳴りはじめ、
そして、それが収まったときに淡々と弾かれるギターアルペジオ
まるで感情をそのまま音に写し取ったみたいです。

彼は、自分の心情をアコギを持って街頭で歌うよりも、
DTMの打ち込みと初音ミクで表現する、
なぜかそれがこの上なく自然に感じされるような、
稀有なタイプのシンガーソングライターでした。

ある意味、ボカロがあったから出てきた才能だと思います。
こういうことがあるから、僕はボカロが面白くてたまらなかったのです。

 

 

ボーカロイドが出てきた当初。

こんなのは歌じゃないと言われたり、
歌い手が歌ってこそ完成されると言われたり、
スッキリで理解できないと言われたり、

so-na.hatenablog.comまるで目の敵のようにいろいろ言われて、
そこからある一点をすぎて受け入れられて、
もしくはちょっと忘れられたりもして、
僕が知った頃まだミックスが下手だったハチさんは今や米津玄師として、
ボカロを知らない人も知るぐらいになって、

でも結局ここにあげた曲達を聞きなおしながら思うのです。

初音ミクが歌うのがこの世界の誰が歌うより合う曲が、確かに存在する、と。

Fate/EXTRA CCC とはジャンプ漫画である

Fate/EXTRA CCC ★★★★☆

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もともと僕が Fate/EXTRA とその続編である Fate/EXTRA CCCをプレイしようと思った理由は、Fate/Grand Order のCCCコラボイベントのシナリオの完成度がとても良かったからで、そこでメルトリリスという特徴的なキャラクターに夢中になったからで、そのメルトリリスの原典を知りたかったからだ。

 

そんな不純な動機からはじめたこのシリーズ。Fate/EXTRA では若干の作業感を感じながらやっていたが、CCC に入ってからは一切そんなことはなく夢中で楽しむことができた。贔屓するわけではないが、奈須きのこ氏が最初から関わるとレベルがひとつ上のシナリオになるのは否めないと思う。

奈須きのこ氏といえば、とにかく中学時代にノートいっぱいに書かれていたと噂の作り込まれた世界設定というイメージがあり、実際にアニメ化されたFate/stay night空の境界を見ていてもこの人の凄さはその世界設定なのかなーと思っていたのだけれど、最近そうではないことに気づいた。 

きのこ氏はびっくりするぐらいジャンプ漫画なのである。

きのこ氏のストーリーの根幹はどれも、何も取り柄のない少年、落ちこぼれの少年が、とことんまで追い詰められ、その中で「一歩を踏み出す」という物語である。

その「落ちこぼれ」という設定がひどく極端で「あらかじめ魔法使いに作られた人形」であったり「正義の味方になりたいと意味を理解せず願う孤児」だったり、ただのAIだったりする。

追い詰め方も半端なく、世界が滅びるだけでは飽き足らず、「人類史がすべてなくなる」とか、「世界が滅びる未来が今決まりました」とか、そういう状況まで登場人物を追い詰めて、それでも「今、前を向くことはできるだろう?」と問いかけていく。

そう。奈須きのこ氏の練りこまれた世界は、このジャンプ漫画的一瞬を輝かせるための舞台装置に過ぎなかったのだ!(もし世界設定が普通のファンタジーだったら、「人類史がなくなるよ」といわれても説得力がないしね)

 

……という観点で本作を見るとそのジャンプ漫画的王道は本作でもきっちり守られている。岸波白野という主人公の弱さ、境遇の悲惨さ、それでも前を向く強さ。

加えて本作では「女の子の秘密・初恋」にテーマを絞っているところが非常に面白い。さらにその女の子は最終兵器彼女よろしく極端なパワーを持ったAIなので、例えば「彼と私だけが存在する世界にしたい」と思うと本当にそれを達成する力があったりする。その勘違いをその女の子の心の中に踏み込んで正していくのだ。いやあ、このアイディア、天才的。

個人的な恋愛が世界に干渉するのはセカイ系と言えなくもないのだが「女の子の秘密を暴かないと先に進めない」という若干変態的でアクセルが壊れた踏み込みによって、所詮セカイ系でしょと言わせない個性がある。

 

一番印象に残ったのは、新キャラのジナコさん。なんとこの女の子、引きこもりで、Fate/EXTRA ではずっと隠れてて不戦敗になった三十路目前のニート。かなりきわどい題材だと思うのだが、トーマさん的主人公が熱いパンチをして解決したりせず、もうずっと、EDギリギリまでぐだぐだしているあたり真に迫っていて、引きこもり経験がある人の感想を聞きたいぐらいだった。

彼女をなんとか前に向かせようとするガトー、カルナとの暖かいやりとりは胸に迫るものがあり、「前に進めない、停滞を選びたい、でも停滞はつまらない」というサブヒロインに一つの救いが示されるあたりが新境地だと思った。というか、このシナリオの力の入れよう、本作で一番伝えたかったメッセージはこの部分なのかもしれない。ゲームプレイする気はないが興味がある人は「ジナコ Fate」でググって欲しい。

 

というわけでシナリオだけ見たら文句なく星5。きのこ氏の実力の末恐ろしさを今更実感した。未だ現役のドラクエ堀井雄二もそうだが、こういうレベルのライターがいると、後進に譲るのは難儀だろうなあと思う。というか、無理では?

 

ゲームシステムも EXTRA で不満だったところはだいたい回収されており、ダンジョンをひたすら下りていくはずが単調さは微塵もなく、バトルシステムも「逃げる」と「自動」ボタンの実装により「本気でメモを取りたくないひとは適当にやれるよ」感がでて間口が広がったと思う。音楽だけは前作ととんとん。細江さんのJazzはちょっと恋しいが、本作も悪くない。むしろ良い。

 

ただ、星4としたのは、「Fate がこれだけ受け入れられている今って異常だな」と思わせるような変態性が「女の子の秘密・初恋」をテーマにしたことによって強調されているため、人を選ぶだろうと思ったから。特に、主人公が女の子の心の中に入って秘密を暴くシーンはセクハラ親父とジャンプ主人公の境目を攻めるみたいな感じであり、女の子によってはプレイすると不快になるのでは? とドキドキした。攻めるなー。

パッションリップとメルトリリスに代表される女性キャラのデザインも、エロというよりはもはやグロに近く、電車の中でプレイするのをはばかられるレベルである。とはいえ、このアングラ感溢れるデザイン、マイナー感溢れる感じが Fateシリーズと言えなくもないのだが、とりあえず、万人におすすめできるかと言われると、ちょっと悩む。

まあ、僕のように Fate/Grand Order の CCCコラボイベントが良かったと思う人は間違いなくプレイして欲しい。なんなら EXTRA は飛ばしてもいいと思う。それ以外の人も、安いので、買ってしまってから考えてもいいのではないだろうか。

 

(どうでもいい追記をすると、メルトリリス目当てでプレイした僕ですが、本作の中ではエリザベートバートリーが一番可愛かったです。)