眠い目をこすりながら朝ごはんを食べていた時に、CMから流れてくる聞き覚えのある音。
やわらかい電子ピアノに絡むピコピコ音。僕の目は一気に覚めた。
STROBOLIGHTSがCMに使われてる!
それも多分、僕の好きな音の柔らかいアルバムヴァージョンのほうで!
春の珍事(いしわたり淳治公式ブログ・KIHON THE BASICより)
思わず検索かけてみると、「あのCMの曲は何?」って
掲示板やらなんやらで聞いている人がたくさんいて、幸せな気分になってしまった。
未だにSUPERCARの曲が、人をはっとさせているという事実だけで僕は嬉しい。
しかし、ジュンジ君のブログによると、このCMが始まったのは春なんだな。
それなのに、はじめて聞けたのが冬の始まり。ちょっと取り上げるのには遅すぎ。
けれどもまあそんな些細な事は気にもせずに、
僕はまた「HIGHVISION」を聞きながら、こんな風に文章を書いています。
未だに思う。スーパーカーは唯一無二のバンドだったって。
メンバーの佇まいも、ジュンジ君の歌詞も、ナカコーの気怠いヴォーカルも。
なんとなくだるい気分なのに、いざ言葉と向き合うとそれを言えずに、
薄っぺらい希望を歌って逃げる事しか出来なかった、そんなバンドが溢れる中で。
信号機が青に変わる瞬間、ジュンジ君はこうやって歌詞を書いた(「Walk Slowly」)。
青になって誰かと同じに歩き出すのは、誰かと同じが僕には幸せだから。
みんな本当は気付いていたんだ。特別になんかなりたくないって。
みんなと同じだと安心するんだって。
夢も希望も絶望も愛も、そして引き出しの奥に隠している自作の詩のさえも。
それをこのバンドは、過剰に否定する事も思わせぶりに肯定することもなく歌った。
本当に、さらっと歌ってしまった。
きっと歌っている本人の、ナカコーすら気が付かないままに。
(だってナカコーは、ジュンジ君と同じバンドでありながら、言葉を信じてなかったから)
(でもだからこそ、歌が平熱になって言葉の温度と一致したんだけどね)
未だに思う。スーパーカーは唯一無二のバンドだったって。
僕の思う青さを鳴らしてくれたのは、スーパーカーだけだったって。
そして、その音楽が未だにテレビの片隅でなり続けていて、
振り向いてくれる人がいる事だけで、僕は嬉しくなれるんだって。