2017年ベストソング10選

最後の( )は総再生数です。ではどうぞ。

 

10. アンノウン・マザーグース / wowaka Feat. 初音ミク (33)

毎年恒例のvocaloid枠は、王の帰還。去年は過去に憧れられ今はメジャーで戦っているボカロレジェンド達が10周年を口実に帰ってきた年でしたが、特に米津さんとwowakaさんの尖りっぷりは半端なかったです。この曲の歌詞は歌詞というかそのまま心情吐露。「誰もが彼をなぞる 繰り返す使い回しの歌に また耳を塞いだ」とか、自分の曲が高速ボカロックとして「お手軽に再生数が稼げるジャンル」にされ使いまわされたwowakaさんの怒りそのもの。しかし、皮肉なことに、いくら使いまわされてもオリジネイターには叶わないことがこの曲によって証明されるというね。米津さんとwowakaさんは、今別のフィールドで音楽をしているのに、こうまでも本気で「ミクとミクの場について嘆いて投げかける」曲を書くのは、このシーンへの愛の裏返しなのかもしれません。全く、アイドルたるミクさんになんて曲を。 好き。

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視聴回数 1,865,078 回

9. Saturnz Barz / Gorillaz Feat. Popcaan (37)

フジロックでの勇姿も記憶に新しいゴリラズ。Feel Good Inc. や Styro のような一聴して最高と分かるポップソングがなく陰鬱な内容で、それはきっとトランプ政権を中心に回る世相を敏感に感じ取った結果なのでしょうが、僕は難しいことはわからないので、ただただ、サビで気だるさが二割ましになるヒップホップとして聞いていました。変な曲だけど、好きだなあ。

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視聴回数 56,533,565 回

8. Here / JUNNA (39)

魔法使いの嫁OP。「たったひとつたったひとつの」という歌い出しの格好よさに一聴惚れ。2番のAメロのアレンジも凝っていて素敵。JUNNAは、マクロスデルタのミクモのゴーストシンガーでもあり、去年の僕の一位曲絶対零度θノヴァティックにも参加しているなんと若干17歳! ファンクラブに入るべきか検討中。

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視聴回数 1,470,074 回

7. アシンメトリ / ねごと(41)

ねごとがテクノに傾倒し、しかも BOOM BOOM SATELLITES の中野氏とコラボするとは予想外でしたが、その結果は予想外にハマっていました。この流れでアニメ版ゴジラの主題歌も、中野氏作曲のねごと(蒼山さん)作詞。この二人としても手応えがあってお互いの欠けているところを埋められたということでしょうか。幸せな出会いすぎます。

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視聴回数 347,503 回

5. ようこそジャパリパークへどうぶつビスケッツ×PPP (42)

僕はミーハーなので、みんなが良いと絶賛していると意地でも良さを知りたくなります。アニソンに親密なkz氏のみならず、平井堅までも絶賛したというこの曲の良さは意地でも知りたかったのですが、もともとはちょっと苦手な曲調でもありました。暗い曲が好きなもので。理解できたのは友達とカラオケで歌った時。全曲サビという理由がわかったのです。どこ歌ってもすっごく気持ちよくて、かつドラマチックなんですよね。アニソンすごい。

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5. 惑星タントラ / MONDO GROSSO & 齋藤飛鳥(乃木坂46) (42)

顔が小さく首が長くお人形さんみたいな今をときめく飛鳥氏が「僕らは今日もショーケースの中で何かを待っている」「承認された世界の密室を旅してる」という歌うテクノポップ初音ミクさんといい、欅坂46といい、今はアイドルがその悲壮感を歌っても良い時代なんですね。あまりにもダーク。どこまでも下に落ちていくようなギターループも最高にダーク。乃木坂ファンは必ず履修して飛鳥氏の新たな一面を知ってほしい。僕は彼女についてはこの一面しか知らないのでインフルエンサーから履修します。インフルエンサーはいい曲ですよね。

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4. Forevermore / 宇多田ヒカル (57)

フジロックの日に配信開始を知って、小躍りしながら聴き狂いましたがこの人はやはりJ-POPを簡単に飛び越えてそれでいてJ-POPに理解されるという稀有な力を持っている人だと再確認。どこかジャジーで、ストリングスとエレピのフレーズの説得力が半端ないすごい曲です。

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3. ラビリンス (Album Mix) / MONDO GROSSO & 満島ひかり (61)

MONDO GROSSOの歌物が僕にとってどれだけツボか再確認する年でしたね。これは先行シングルですが、一昔前の、今はいるかわからないクールな女性が目に浮かぶとっても大人な一曲。本当に格好良いのです。ゆらゆら揺れながらこの曲をうたう満島ひかり齋藤飛鳥以上につかみどころがなく、もう大沢氏にはアイドル・女優プロデューサーとしてデビューしてほしいですね。嘘です。ちょっと本当です。

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2. 鏡面の波 / YURiKA (71)

僕の2017年ベストアニメである宝石の国はOPにも恵まれているのですよ。このエレクトロニカがエッセンス的ではなくて割と本気でまぶされているアレンジと、右と左のchを行き来しながら執拗に繰り返すピアノとホーンのポリリズムは、ワールズエンドガルフレンドが好きなボカロPが作ったような不思議な手触りがあり、これはボーカロイドの10年がないと生まれない曲だったのではないかと勝手に思っています。ボーカロイドで、多くの聞き手がエレクロトニカを知ったことで、アニソンでエレクトロニカ系を大胆に取り入れる曲が増えたのでは、と。反論求む。

余談ですが、この曲のピアノやホーンに集中してリズムをとると酔います。

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1. Symphony (feat. Zara Larsson) / Clean Bandit (93)

2017年は世界No.1の収入を持つDJカルヴィン・ハリスが脱EDMのアルバムをリリースし、サマソニに来日してアゲアゲのEDMを鳴らして帰って行ったのが記憶に新しいですが、大事なのはTPO……ではなく、もうEDMとかどうでもよく良い曲を出したら勝ちってことで良いんじゃないかなあと思っています。この曲はEDMに分類されるのかもしれませんが、それ以前にとっても良い曲です。柔らかいシンセとストリングスのアレンジの上にどこまでも伸びやかな歌声。音楽そのものをテーマにした歌詞も美しい。ただただ、良い曲で、繰り返し繰り返し聞いて、気がついたら再生回数が100に届きそうになっていました。

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視聴回数 560,594,270 回

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冴えない彼女の育てかた(無印、♭)を見たよ

★★★★☆

 

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この赤いアイライン、発明だと思う。超可愛い

  

■ 一期
ライトノベルの激しいテンプレ化は裏を返せば、テンプレートの中でいかに唯一無二の個性を一つだけでも入れられるかというはげしい戦いであり、その点でこの作品の特異な点は加藤恵というヒロインにある。いかにもなライトノベル的なヒロインが羅列されるこの作品の中で燦然と輝く加藤恵という、名前すら普通なメインヒロインの存在。それが、ただそれだけがこの作品の個性を際立たせています。
彼女だけは、主人公に安直になびかず、クリエイターでもオタクでも妹でも中二病でもなく、本当に普通で、それなのに、ラノベ的な他のヒロインを圧倒する個性と魅力を放っている。それだけが、この作品がノイタミナ枠にに選ばれた理由であり、美麗な作画とすこしオシャレなエロ演出もまたこの作品にあっている。でもそんなことよりも本当に加藤恵がかわいい。
ある意味、ひねくれた僕こそ素直に見ることができる萌えアニメでした。
まあ、ここまで褒めておいてなんですが、ストーリーは普通です。ただただ、加藤恵という存在だけは偉大な発明であり、そこに★ひとつぷらすした、そんなアニメです。

 

■ 二期(♭)
星は同じだけれど一期よりだいぶ面白い。「テンプレラノベ+普通の女の子」に対して2期で「+スポ根(クリエイターとかそのへんの)」という感じでしょうか。
加藤さんの可愛さはさらに洗練され、8話で表題の通り「フラット」な態度がはずれて自分の感情を出してきたところにその頂点を見た。8話の加藤さんの説教シーンと足バタバタシーンはこれからも僕の中で萌えアニメの頂点シーンとして記録されるでしょう。
ライトノベル的ヒロインのえりり(ツンデレ)とうたは先輩(お姉さん系?)のように勢いでキスしたりツインテールでビンタしたりもせず、加藤さんだけは主人公が泣き崩れるところで抱きしめるのかなと思ったらそっと身を引いたり奥ゆかしい。ハーレムアニメに迷い込んだ現実の女の子。
ラノベ主人公は、必ず、ゲス野郎にならないために「ヒロインがどれだけあからさまに好意を示してきても、好かれていると自覚できない」呪いを背負うのですが、加藤さんだけは主人公のともや君のような呪いを抱えていない僕でも「すごく優しいし彼女みたいに振舞ってくれるけれど、この子は僕のことを好きなのだろうか?」と好意の真意を計り兼ねて迷ってしまいそうな曖昧さがあり、告白したら唯一振られるかもとか、そんな感じがしてドキドキしちゃいます。
この普通ヒロインとラノベ的ヒロインの対比って本当に面白くて、つまり、ライトノベル的に現実からデフォルメされた世界で「普通に可愛い普通の女の子」が引き立つという事実が示されてしまったわけなのですよ。つまり、フィクションに現実は勝てるのかもしれない。そんなことすら思いました。
もうこれだけ褒めてるならば星5で良いとも思うのだけれど、それだと僕の中でFate/Zeroとかまどまぎとかと並ぶ出来ということになってしまうので、星は維持で。でも加藤さんには星5こあげちゃう。

けものフレンズを見たよ

★★★★☆

 

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「そりゃそうだろ。」とタイトルから続きそうなぐらいに2017年を代表するアニメとして今後末長く記録されていくだろう、けものフレンズです。

 

僕も内容もさることながら、ムーブメントそれ自体がまどかマギカの時以来に楽しくなってしまい、アニメをほとんど見ない会社の後輩に勧めてフレンズにしたり、アニメをほとんど見ない先輩含めて「フレンズなんだね!」を流行らせたり好き勝手して楽しかったです。

 

そんなことができたのは、各話が動物を通して人間の本質をえぐるような独特の鋭さを持っていたからだと思います。ビーバーとプレーリードッグの話から仕事の進め方を学んだと本気で言っていた友達もいますし「美味しいものを食べてこその人生なのです」というハカセの言葉も全くもって正しいなあと思います。そしてなにより僕はトキの話が好きなんですが、あの話の根底の優しさに救われました。

面白いことに、こういう難民系の雰囲気を持つアニメでいちばん「ありがち」なプロットを持つ「ぺぱぶらいぶ」が「ロッジ」に続いてマイリスト数が少ないんですよ。これって、逆説的にけものフレンズが「ありそうでなかった」独自性のあるプロットでできていたということになりませんか?

実力はあるけれどどこか地味だったたつき監督と廃れたスマホアプリのけものフレンズのキャラが幸福な出会いを果たすことで、このオリジナリティ溢れるアニメができたという幸せな奇跡。

 

けれど、とある事件でたつき監督は解任されてしまいました。その経緯にみんなの思い描く「くろまく」がいたのかどうかもはや僕らには確かめるすべはなくて。ただただ僕は、このアニメという奇跡が2017年限定だったという事実を受け止めるしかないのが、とっても悲しいなあと思います。

クズの本懐を見たよ

★★★★☆

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花火の携帯電話の麦からの着信画像は麦畑です。

 

モテキとかその辺の雰囲気に近いこじれ恋愛を描いた作品。彼氏の部屋で一緒に寝ててふと抜いてあげるみたいな絶妙なリアリティは性に奔放な少女漫画(NANAみたいな)が大丈夫な人でも苦手なひとは苦手かも。僕の友人の中には全くダメな人もいました。

 

まっすぐな男教師に恋い焦がれる花火とその先生がすきな魔性の女教師が好きな麦がその代替品をお互い求めて付き合うというあらすじからこじれまくっているのですが、個人的に花火ちゃんみたいに投げやりで冷たい目をする女の子好きなので僕が麦だったら絶対花火ちゃんをマジで好きになって曖昧な関係が破綻して終わりだなと思ったり。まあ、普通に登場人物は魅力的なのです。

 

そしてここからひどくネタバレなのですが、魔性の女教師が普通にまっすぐな男教師のまっすぐさにやられてくっついて幸せになってしまうのは、関係性がこじれきった結果なのだろうなと納得しつつ、煮え切らなかったです。「私、むっちゃ浮気するよ」とか平然と言う女教師の真意を理解せず、表層の可愛さだけにまっすぐ向かう人が結果間違えてその人を手に入れてしまうのは大層な皮肉だなあ、と。

 

今久しぶりに思い返してもうんざりする結末ではあるのですが、多分僕こういう捻くれた女の子がピックアップされる話が好きなんだと思います。ロックソングのパロディを各話タイトルにするセンス然り、作者と音楽性が似ているんでしょうね。はあ。

 

この作品が好きな人がどこを好きでこの作品を見ているかは、とても気になるところです。

Fate/Apocrypha を見たよ

★★★☆☆

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「神々の王の慈悲を知れ」

 

22話と23話の作画は思わず奈須きのこ氏が褒め称えるブログを書くぐらいの圧巻の出来。荒い線をあえて使い、動に極端に依っていて英雄が槍や剣からビームを出す事を全く恥ずかしがらず真正面から描いた作画には、ものすごい濃密さと本気度を感じ、A1 Picturesが決して「ufotableが作れない時の補欠」ではない事を示したように思えます。

 

しかし物語そのものの薄さはやはり目につきました。ここは作画ではカバーできない部分か。Fate特有の仄暗い感じがないのも相まって「あーアストルフォとジャンヌかわいいなー」と流し見できるゆるい感じになってしまった事は否めません。

 

最初にジークフリートが主人公を身を挺して助けるところから本筋が始まるのですが、そこが残念ながら説明不足で「どうして助けたのか」の必然性に欠けて深みを感じなかったのがとても痛かった。登場人物が多すぎるというよりは、単純に登場人物に深みを持たせる物語の付け方が弱いと感じ、全体的に物語のほうをもう少し頑張ってもらいたいなあと思ってしまいました。

少女終末旅行を見たよ

★★★★☆

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個人的にはノッツさんの漫画を思い出す絵柄。

 

2017年は人が滅んだ後の世界を描くアニメが目立っていた気がする。けものフレンズもそうだし、宝石の国もそうだ。これらの共通点は終末感を使って人間の本質を鮮やかに描き出して行くところにある。動物や宝石を人に似せることで、人間っぽいけど人間ではない何かを浮かび上がらせたりする。

 

少女終末旅行はその中で最も直球で、しっかりと人間が戦争的なにかで滅んでおり、それを直接的に描写するシーンもちらほらある。その中でほのぼの少女二人が哲学をするという仕掛けである。ぽろっと、主におばかキャラのユーリ側が、一言ものすごく本質を突くような台詞を言うのだ。

 

この「てつがく」が刺さるかどうかが、このアニメの感想を大きく左右するのだけれど、僕に限って言えば「ふーん」となる回もあれば馬鹿みたいに刺さりまくる回もあった。特に機械とコラボする9話「生命」と音楽の本質を問う10話「波長」は刺さりまくった。ユーリの一言ではっと視野が広がるような感覚は本当に素晴らしい。

 

音楽と映像がその一点にピークを迎えるように集中する作りは初期の新海誠にも近いかもしれない。

 

ただ、極度にデフォルメされた女の子と寂しい風景は人によってはセンチメンタル過剰すぎて受け付けられなかったり、もしくはだるかったりするかもしれない。僕も回によってはだるく感じたりするのでこの点数である。

ただ、「波長」の盛り上がりは今も心に余韻が残って思い出すと泣きそうになる。そんなアニメ。

 

ついでに、こころりPさんのミクとコラボ同人もおすすめ。機械と終末は僕が最も弱い組み合わせなのに、ミクちゃんなんてでてきたら……。

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ロクでなし魔術講師と禁忌教典をみたよ

★★★☆☆

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金髪の方が正妻枠で白髪はツンデレ

 

ライトノベルの激しいテンプレ化は裏を返せば、テンプレートの中でいかに唯一無二の個性を一つだけでも入れられるかという激しい戦いであり、その点でこの作品の特異な点は……おっと。冴えカノと同じ導入になってしまった。弟が賞をとった同期であり、主題歌はボカロ時代から知るヒゲドライバーさんが作曲、ゆよゆっぺさんが編曲となんだか妙に縁のあるこの作品の売りは、完成度の高い魔法の体系化とGTO的要素にあります。

特に一話二話の導入は素晴らしく、一見クズな先生がひょんなことからやる気になって、暗記ばかりの魔法の授業の本質に組み込んでいくシーンは一見の価値あり。「魔法は究極の自己暗示」から発想を広げて詠唱をプログラミングのように扱った発想はやはり素晴らしく、ニコニコ動画のコメントでも「覇権か?」なんて囁かれていたりしました。

しかし、そこからがちょっと弱かった。回を増すごとに存在感を増す特異点加藤恵と比較すると、だんだんその特異性が薄れていき、最終的にはテンプレ魔法アニメの枠に戻ってしまった感も。アニメ化することで、話を綺麗に詰め込むためか上記の魔法の体系化という要素がどんどん省略されてしまったのもそれに拍車をかけている。GTO的要素が古臭さという方向に働いてしまったのもマイナスかなー。というわけで星は三つ。

モブの生徒にも面白い個性があったり、いい点は多々あるので、個人的には古典魔法ラノベよりはハリーポッター的に学園生活をもっとピックアップする方向に向かって欲しかったです。