しつじひつじしつじ

「甘やかしすぎたかなあ」って、ベッドに寝そべりひとりごと。
「もう寝るからね」って言ったから、一応目でも閉じてみようか。


ひつじひつじひつじひつじしつじしつじひつじしつじ…


煙草の煙のように渦巻いて消えていく、眠るためのおまじない。
なんだか変な言葉が混じって、うまく集中できないや。



優しさと、弱さは似ているけれど違う。
甘えと、傲慢は違うけれど似ている。
僕の優しさに似せた弱さが、君の甘えに似せた傲慢を引き出しているとしたら、


それはまるで、
ひつじひつじひつじひつじしつじしつじひつじしつじ…



「変わらなきゃな」ってもう一度、ベッドに寝そべりひとりごと。
「もう寝るからね」って言ってから、もう何分たったっけ?



そのままふと目線をあげると、ぶっきらぼうに言った「おやすみなさい」が、
行き場をなくしてふらふらしていて、僕は本日52回目のため息をつく。


悪いな、明日はもっと優しくしてやれるからさ。
今日は寒いだろうけど、そこで我慢してくれよ。