「ファイアーエムブレムif 暗夜王国」総評 人物編

 前回(暁の女神感想)でなぜか好評だった人物編。これが書けるぐらいまでやりこまないとファイアーエムブレムというシリーズは面白くないゲームなのだ。きっとGBAで流し気味にやったシリーズもこれを書けるぐらいやりこめば面白いんだろうな。そしてそれぞれ100時間ずつぐらいかかるんだろうな……。

 当たり前ですが、ネタバレ全開。

https://www.nintendo.co.jp/3ds/bfwj/character/index.html より引用

シリーズ共通キャラ

カムイ

 メンタルよわよわな甘ちゃん主人公。全然リーダシップがないので、ドラゴンの血を引いているから周りから一目置いてもらえてるのかな、と思ったら、どちらかというと暗夜白夜の親族たちがむちゃくちゃ優しくて、毎朝エリーゼに甘々な声で起こしてもらい、カミラに溺愛されていたせいでこうなったんだと思う。ドラゴン関係ない。

 「暁の女神」でアイクが敵に回った時のような恐ろしさはこの子からは感じられない。やっぱり、このゲームはファイアーエムブレムとしてはむしろ異質な、家族主体の勧善懲悪物語なんだろうなと思う。

 良くも悪くもこのゲームのストーリーを象徴するキャラクター。女性と結婚したいので男にしたが、この子の過剰な優しさは、女の子の主人公のほうが絵になったかも。

 フェリシアと結婚。ここでも甘々なマイルームを過ごした。メイドさんと結婚するのはどうなんだろうと思いつつ、あとから子世代とも結婚できると知って、ま、まあ普通の結婚相手だったかな、と思った。フェリシアかアクアと結婚する人多そうだ。

ギュンター

 いわゆるジェイガンポジション。最初から強いが成長せず、ずっとこの人に頼ってると詰む、という立ち位置なのだが、途中離脱して再会するストーリーになっているのは結構うまいな、と思った。この人も支援会話見ると主人公命である。まわりの人に恵まれたよね、カムイ君は。

 老齢のせいか結婚はできない。

フェリシア

 氷の部族のドジっ子メイド。氷の国は結構立ち位置の難しい国なのだが、その出身の割にはやはり優しい。魔法使い系に強く、魔法使いだらけの場所に置いておくと無双する結構な強キャラなのだが、毎日皿を割ってコケる子が戦場で強いというのは、わりとファンタジー

 カムイと結婚。だいぶ甘々な新婚生活だったが、実はフェリシアに限らずクール系のキャラも結婚すると結構みんな甘々である。メイドさんに「あなた」と言わせるのはちょっとぎりぎりというか、禁断の愛感があるなと思った。

ジョーカー

 主人公の身の回りの世話をしている男性執事さん。フェリシアと違って仕事はできる。幼いころ主人公に救われた過去を持っていて、やっぱり主人公に激アマであるが、まあこの人の場合はしょうがないかもしれない。主人公がもらった優しさが人を救うという、優しさの連鎖である。ただし、主人公だけが特別で他のメンバーには割と容赦がない系。

 エリーゼと結婚。消去法で選んだんだが、(主人公以外には)容赦がない系のクールキャラとおこちゃまキャラ、結構いい組み合わせなのでは、と思う。結婚エピも嫌々エリーゼの遊びに付き合ってたらなんか通じた、みたいな感じでよかった。

スズカゼ

 彼は幼い頃の主人公への後悔と、主人公に(ススカゼの場合は敵対する白夜所属なので、命そのものを)救われたエピソードを持っていて、主人公に忠誠を尽くす。こう書いていると、主人公の優しさがストーリーの根幹だなあと改めて思う。忍者だがイケメン設定で、物凄くモテるとのことだが、忍者がイケメンで目立ってしまうのはかなり困りそうではある。もしかしたら男版くノ一として活躍した場面もあったのかもしれない。

 なお、ファイアーエムブレムifではかなり貴重な、射程3の手裏剣が使えるので終盤すごく役に立った。地味に強キャラ。

 モズメと結婚。やっぱりモテすぎるイケメンは素朴な田舎少女と付き合うものです。ミドリコに対して子煩悩なんだろうなーと思いながら会話を見ていた。モズメ・スズカゼ・ミドリコ、すごい幸せな家庭を築きそう。

アクア

 本作のメインヒロイン。カムイより目立っているまである。後述。

モズメ

 良成長を持つ、本作の成長枠。あんまり成長枠を真面目に育てたことがなかったのだが、今回暗夜ハードの難しさを少しでも緩和することを期待し、真面目に育てたらエース級に強くなってしまった。モズメ神と言われるのもわかる。なお、耐久はそこまででもないので、調子に乗って強敵の前に置いたら死んでしまってリセットしたことも数知れず。支援会話より戦闘の活躍で印象に残った珍しいキャラである。

 しかし、熊とかと戦って倒してた(謎の「熊の強いところは頭のいいところ」という解像度の高そうな会話には笑った)らしいので、素養がしっかり開花したということなのかもしれない。

 スズカゼと結婚。

暗夜王国:親世代

サイラス

 伝統的な騎士ポジションキャラ。性格も絵にかいたような好青年という感じなのだが、なので若干印象が薄いところがある。最初から好青年の子はなぜかカムイ君のエピソードが辛辣で、再会時に名前を憶えられていなかったという不遇のキャラである(幼い頃だからしょうがないね)。

 結婚相手はピエリ。い、いや、冗談じゃなくて、刺激が欲しいかなって思って……。

エリーゼ

 毎朝主人公を甘々な声で起こしてくるらしい、幼いまま大人になった系キャラ。VTuber の DWU さんのような物凄い金髪縦ロールでセットが大変そうである。思っていることを素直に言うので、ガロン王とのやり取りはなかなか冷や冷やするものがあるが、不興を買って殺されてないあたり、実はここぞという空気は読んで抑える頭の良さがあるのかもしれない。この子に関しては白夜編のほうがキャラがつかめるのかも。

 ジョーカーと結婚。試しに主人公とも結婚してみたら、背徳感すごかったが、16歳以上ではあるよね、たぶん。幼く振舞ってるだけで。

ハロルド

 斧戦士ポジション。街の困りごとを解決する何でも屋ヒーローで、ワンパンマンかヒーローアカデミアあたりの当時の流行りを踏襲したんだろうなと思う。幸運が極端に低いという設定が面白く、彼の幸運が上がる時だけ制約を解除するゲーム実況があったり  *1 と、流行りを取り入れた成功例と言える。ただ、僕はシャーロッテのほうを運用してしまったので、 LV20 にはしたが活躍はさせられなかった。

 ベルカと結婚。我ながらこの組み合わせはいいなと思う。冷たい殺し屋には彼のようなまっすぐなおバカさんがよく似合う。

エルフィ

 大食い女ジェネラル。力が上がる代わりに硬さはそこまでないという点で後述のブノワと差別化されている。僕のプレイでは大分活躍した方なのだけど、モズメ神の鮮烈な成長や、ブノワ神の安定感と比較すると少々中途半端で印象が薄い。キャラとしてもう一味何か欲しいところである。

 ブノワと結婚。壁が本当に貴重な暗夜編でビビって二人ともジェネラルにしちゃったので、絵面的に結婚かなって思った。なお、カムイと結婚すると「結婚を申し込まれた緊張によりカムイが持ってきた食事を焦って食べてしまい(顎の力で)中に隠された指輪を割る → 割れた宝石でおそろいの指輪にしよう」という、結構エモなエピソードが披露される。宝石を割る歯ってどんなんだというツッコミはあるが、このような小ネタが面白いのは本シリーズの良さの一つだ。

オーディン

 厨二病な魔法使い。リザイヤ地雷(吸収系の魔法で雑魚を一掃する)がかなり役に立ったのだが、キャラ設定が軽すぎてそんなに印象に残らなかった。さすがに当時としてもこのキャラは安直すぎる気がするが、実は覚醒で人気だったため、こっそり続投したキャラとのことらしい。剣聖にしたほうがよかったのかも。

 カミラと結婚。この組み合わせは正直あんまり自信がない。でも厨二病を引き継いだ娘のオフェリアはすごくかわいいし、後日談を読むと結構すごい魔法使いになったらしい。

ゼロ

 これまた賛否両論ありそうな、下ネタセクハラキャラ。やはりどうしても本作はキャラが軽い。治安の悪い暗夜王国出身らしく、盗み殺しなどなんでもやる環境の悪い幼少期を経てこのような歪んだ性格になってるということなんだが、その過去をもって純粋なキャラに下ネタを言って困らせるような(幽遊白書の樹のような)キャラになるのかというところに若干の疑問は感じた。なお、魔法防御が高いのでモズメと差別化できていて、戦闘では大活躍。主人公と同性婚できる。

 シャーロッテと結婚。まあ、なんというか、恋愛観がこじれたもの同士を合わせてみた。娘のエポニーヌもまた性癖をこじらせ BL にはまるので、しっくりくる結婚だった。

ニュクス

 本シリーズでダークマージポジションの女の子は大体好き。後述。

カミラ

 同人誌に出てきそうな、やたら主人公とお風呂に入りたがるエッチなお姉さん。ED ムービーの、彼女の胸にぶつかってボンって音がするという、80年代感あふれる演出には笑ってしまった。とある事情でカムイに依存しているので、多分、結婚相手はカムイと別の人のほうがいいのだろう。

 カムイの邪魔をする敵は容赦なく殺害するというヤンデレ属性まで持っていて、案の定人気が高い。当時から人気が高そうだが、2023年現在でも人気の出そうなキャラ属性と言える。

 結婚相手はオーディン。結婚さえしてくれれば、うまくいくと思う。主人公への思いに囚われなかった世界線のカミラでした。

ルーナ

 ツンデレ女剣士。暁の女神におけるワユ大好きっ子としては育てたかったが、本作はめずらしく剣士が結構不遇で運用には苦労した。斧だらけのマップでは、斧を避けまくって、太陽スキルで自動回復して無双してくれたので、場所を選べば壁役としても役に立つ。ツンデレ要素はちょっとあからさますぎてピンとこなかった(個人の感想。この子も前作の続投キャラなのでむしろ一般的な人気は高い)。

 ラズワルドと結婚。見た目も設定も似てるからさ。

ベルカ

 殺し屋ドラゴンマスター。殺しを教えてくれた恩人をも殺して生きてきたというまたまた悲惨な過去を持つのだが、後述のピエリと比較すると不思議と違和感はない。人間の主体的な倫理観とは不思議である。

 しかも、その恩人殺しのエピソードを結構な支援相手にばらしている気がするので、意外とおしゃべりなのかもしれない。

 パラメータはわかりやすい守備型ドラゴンマスター。ただ、素早さが伸びず二回攻撃を受けやすいため、ジェネラルとして二回攻撃を受けないスキル持ちのブノワやエルフィと比較するとかなり脆く感じる。その代わり移動力があるのだが、技も伸びないので命中率も少し頼りない、という感じで運用が難しかった。

 結婚相手はハロルド。いいカップルだと思う。

ラズワルド

 色男系剣士。ダンスがうまいらしいが、そこまで印象に残らず。このキャラもまた前作人気による続投キャラなのだが、どうも前作のファンと微妙に趣味が合わない気がしてきた(前作のシナリオ込みで判断すると違うかもしれない)。

 ただ、ピエリがああなってしまった理由は彼との支援会話で語られるという点では重要。その時は彼女を抱きしめて一緒に泣いてあげていたので、いい奴なんだろう。

 結婚相手はルーナ。見た目がマリアージュしてた。

ピエリ

 本作最もインパクトの強いキャラ造形。後述。

シャーロッテ

 玉の輿狙いの二面性女子。ブノワと一緒に現れて、ちぐはぐなコンビとしていい感じだなと思ったのだが、登場以降あまりコンビでは語られずそれぞれ独自のキャラ立ちをしていく。彼女はバーサーカーとして成長し、硬すぎて倒せず二時間のプレイがやり直しかと思ったボスが、彼女によって沈んだときは彼女に五体投地して感謝した(誇張表現)。

 ゼロと結婚。

 余談だがこの「鎧・へそ出し・でっかいリボン・萌え系の手の置き方」のデザイン、インパクトすごかった。ファンタジーらしさ全開の立ち姿である。

https://www.nintendo.co.jp/3ds/bfwj/character/index.html より引用

ブノワ

 ブノワ神。そこそこ伸びる魔防も含め、総合的にあまりに固く、攻略サイトのルナティック攻略では「はいはい、ブノワブノワ」と言われるぐらいの強キャラ。僕も存分に頼らせてもらったが、正直、頼りすぎて何度も敵の中で孤立してしまい死んでしまった。苦い思い出である。

 支援会話でも「熊を一ひねりで倒した」などモリモリで語られて困っているらしい。こういう、ゲームの中の描かれ方と、プレイしたときの印象を合わせるというのはゲームへの没入感を深めるよい演出だと思う。ゲームの中では皆に持ち上げられてるのに、実際にプレイで使うと弱いキャラってちょっと嫌じゃないですか。

 エルフィと結婚。

レオン

 ちょっと女の子みたいな整った顔をしたマークスの弟。魔術の才能に秀でている。僕はファイアーエムブレムでは武器耐久が減らない魔法使い系が好きなのだが(シリーズによっては減るし、本作のように通常物理武器も減らないパターンもある)、本作に関しては頑張って育てたニュクスやオーディンも結局レオンの後塵を拝した。やっぱり適度に耐久がないとしんどいのである。専用魔法も強い。

 ニュクスと結婚。職業が似た人同士惹かれあうかなと思ったが、エンディングの後日談が当たり障りのない内容で少し不服。

フランネル

 ガルーという種族。うまく運用できなかったが、なんかほのぼのとしてて勝手に楽しそうである。そういえば、本作は FE 王道の「獣系種族の迫害」ってエピソードが特になかったな。そのせいか暗い印象がない。

 なお、アクアと結婚。主人公がフェリシアと結婚してしまったせいでアクアの相手が見つからなかったのが正直なところだが、今にして思えば「フランネル・ベロア・アクア・シグレ」という構成、意外とよい家庭になりそうな気がする。アクアの固さとフランネルの軽さが相性よさそう。なおアクアは暗夜王国では……となってしまうのだが。

マークス

 最強格次期王子。専用武器「ジークベルト」があまりにも強く、しっかりと無双してくれた。彼をなるべく使わずに経験値を稼いでまんべんなく育成してた時の辛かったこと辛かったこと。

 結婚はせず。いかにも堅物っぽかったので、国と結婚してもらおうと思いまして(本作は男主人公がフローラと結婚しないと必ず一人余ってしまうシステムなのだ)。一応彼の子供エピソードもプレイしたのだが、子供まで超真面目キャラでちょっと固すぎた。他のキャラの軽さの反動だろうか。

 なお、その際の結婚相手はピエリ。いや、ピエリを雇ったのはあなたなので割と真面目に彼女を雇った責任を取ってほしい。というか彼女を雇うあたりマークスも焦ったり迷ったりしていた時期があったのかもしれない。

アシュラ

 暗夜王国の盗賊団頭目。なんとなく海賊みたいな佇まいの人(アドベンチャラーって兵種、海賊感ある)。運用すると強そうではあるが、正直育ててる余裕はなかった。

フローラ

 氷の国のメイドさんフェリシアよりだいぶまとも。ただ、支援を結べる関係が少ない。フェリシア離脱時のお助けキャラポジションかも。

イザナ

 中立国の王子様。すっごい軽い。支援を結べる関係が少ないが、だいぶ終盤に加入するので割と強そうだなという印象。デザインかっこいい。

暗夜王国:子世代

カンナ

 カムイの娘。チキとかの竜の娘ポジションだと思う。かわいい。

シグレ

 アクアの息子。この子の存在だけがアクアの存在を証明している、という後日談がなかなか切ない。男だが白馬に乗るのが似合う。

ディーア

 ジョーカーの息子。どこぞの探偵さんというか、個人的にはシャーマンキングファウストっぽさを感じた。

ゾフィー

 サイラスの娘。親よりおちゃらけた感じだが、馬に馬鹿にされながら心を通わせ、乗馬の高みにたどり着いたという後日談はそれっぽい。

ミドリコ

 スズカゼの娘。真面目可愛い。モズメを妻にしたので、もう絶対いい家族。子世代のなかでは大分運用できていたのだが(スキルでたくさん小判を拾ってくれた)、最後はスズカゼの射程3武器が使えなかったので二軍に。お父さんは強し。

ジークベルト

 マークスの息子。いや、加入エピソード真面目過ぎる。

フォレオ

 レオンの息子。男の娘。男の娘はそんな趣味じゃないが、かなり可愛い。よくよく考えるとレオンも結構女の子な見ためだなあと、血の強さを感じる。ぜひお父さんにもかわいいフリフリの服を着せて、親子で街を歩いてほしい。

イグニス

 ブノワの息子。ブノワもこっそりお守りを持っていくような慎重キャラなのだが、それに輪をかけて小心者のキャラになった。いや、君の母はエルフィなのだが、お父さんの要素しか継いでなくない?

ベロア

 フランネルの娘。ケモミミ・おっとり・ちょっと悟っていて冷めた感じと、とっても好み。だが、彼女を運用する余裕がなかった。悲しい。

ルッツ

 ハロルドの息子。親と反転して運が超絶よい。もう一回周回するなら、ベルカの代わりに運用してみたさがある。

オフェリア

 オーディンの娘。厨二病をしっかり受け継いでいるが才能豊か。運用時もニュクスより強くなってしまい、ニュクスを二軍に落とすか迷っていたら最終的にはレオンに持って行かれた。本作のダークマージ運用難しい。

ソレイユ

 ラズワルドの娘。色男の性質を受け継いだ女の子だが、好きな対象が女の子のまま。女の子にときめく分男の子への接し方がサバサバしているのが好みだったが、断腸の思いでお母さまのほうで最後まで運用した。ガチ百合というより、どっちも行けるタイプっぽい。

エポニーヌ

 ゼロの娘。シャーロッテと結婚したことで金髪になって、個人的に見た目が超絶好みになったのだが、モズメ神とゼロが活躍していたので運用する余裕がなかった。ゼロとの親子の確執や怪盗という十分にキャラが立つ要素を持っていたので、あえて「腐女子」要素を入れるべきだったかどうかは正直微妙だなと感じるが、人気投票の順位は高い。僕が間違っている気がしてきた。

特に気に入ったキャラ

アクア

 このすばの同姓同名のヒロイン「アクア」と、ともに水属性であることもあって最初は印象が被ったが、あっちのアクアと違いこっちのアクアは完全なクールビューティ。意志薄弱の主人公カムイと比較して、意志の強さが印象に残る。ヒロインというかもはや本作の主人公。水着と着物とローマ貴族の服を合わせたかのような服装も美しい。

 時には忍者を倒したりと武闘派な側面も見せてネットではなんとアクアネキとまで呼ばれているらしいが、実際の戦闘ではかなり脆くて LV MAX でも攻撃を受けると一撃でやられてしまう。とはいえ、難易度ハードにおいて、アクア(踊り子)の「再行動」は強キャラを二回行動させられる上に能力もプラス補正されるというとんでもないスキルで頼りっきりだったので、ほぼ全マップに出撃し LV MAX になるのも一番早かった。

 つまり、見た目が特別に美しい・物語を回す実質主人公・戦闘でも大活躍、という三拍子そろった人物で、本作では彼女が最も印象に残った人も多いのではないだろうか。僕もその一人で、登場時から明らかに特別な見た目で印象に残り、最後の儚い退場シーンに至り、最初から最後まで彼女がこのゲームを引っ張ったなあという感想である。

 一応、フランネルと結婚したのだが、別のセーブデータでカムイと彼女を結婚させたときは急に超絶デレ始めてびっくりしてしまった。かわいい。アクアと結婚してシナリオを進めていたらラストはもっと悲しみに暮れていたのかもしれない。インビジブルキングダムで救われていることを願いたい。

ニュクス

 幼い頃、呪術が暴走して年齢が成長しなくなった、二次創作とかにありそうな設定をそのままぶっこまれた魔術師のお姉さん。実は呪いをかけたのは自分自身で、呪術の暴走時に自分がやったことを自分自身で何度も思い出すためのものという悲壮な過去を持っている。……のだが、結果的には「不老不死の不老」で、幼く美しいままの姿をずっと維持している状態になっている。誰にも愛されず人を信じてないようだが、実は周りの人、恐れていたというより、嫉妬してた説、あるかもしれない。

 本シリーズの魔術師のお姉さんポジは好きなのでつい頑張って育ててしまった(暁のイレース、風花雪月のリシテア……)。ただ、あまりに装甲が紙過ぎて活躍させられず。実際、彼女の育成難度は高めらしい。

 レオンと結婚。正直あんまりしっくりこない。ネットを見ると、スズカゼとかと組み合わせる人が多そうである。カムイと結婚すると「僕が君の鏡になり、本当の姿を見せるよ」というエモい台詞を(カムイ)が言う。ニュクスに限らず、カムイの結婚(支援S)会話、かなり気合入ってると思う。面白い。

 なお、ニュクスさんと結婚すると、マイルームでは口元のヴェールを取ってくれる。印象的なのでネット上にいくらでもあるかと思いきや意外となかったので、ニュクス布教の会会員(今作った)として貼っておく。かわいいぞ。

https://twitter.com/i/status/1703504636454531307

ピエリ

 そして彼女に関しては気に入ったというより、強く印象に残ったキャラである。これまで紹介してきた通り、暗夜王国は治安が悪い設定で、盗み・殺しを経て育ってきたような厳しい幼少期を過ごした人も多い。多いのだが、彼女に関しては「殺しが趣味」である。

 しかもヒソカみたいなピエロっぽいメイクにギザ歯で「~なの」とまるでアイマス星井美希みたいな語尾で子供っぽくしゃべりながら「従者がむかつくと、えいっ、ってしちゃうの」とのたまう姿は完全に【サイコパス殺人鬼】である。いくらこの多様性の時代でも彼女に萌えろというのはさすがに難しくない? ぶっ飛び具合は僕がプレイしたファイアーエムブレムシリーズでは断トツだし、彼女を超える人物が今後出てくる気もしない。

 しかし、だからこそ、絶対理由があるだろうと支援会話を積極的に進めるのだが「実は呪いの人形だと思われていたのは、従者の返り血を浴びた彼女だった」というより恐怖をあおるエピソードが聞かされる(ゼロとの支援会話。僕はこのエピソードで実は殺していたのは人形ってオチがつくのかと思った。残念ながらしっかり人間だった)。主人公と結婚してみたら「従者は君に殺されないような強い人でそろえるね」なんて会話が成り立ったりしている。いやいやいやいや。のんきに結婚してないで戦争終わったら牢屋に入れてくれ。

 やっと、マークスの部下つながりのラズワルドとの支援会話にて「幼いころ母を従者に殺された。家の中の従者はみんな同じに見えたから、犯人が生きてると思って怖かった。だから殺してしまった。精神の成長はその衝撃によって止まった」ということが明かされるのだが、逆に明かされて余計に罪のない従者を殺す人だって言うことが強調されてしまった。名門貴族の家だからこそ、従者を人間扱いしてなかったのかもしれないが、それはそれでまた身分制というヤバいテーマに踏み込むことになる。

 というわけで、関連wikiまで読み漁ったうえでの結論は、このキャラで行こうと決めるスタッフが結構サイコパス、である。彼女よりカミラのエロさで CERO 判定が上がったらしいが、彼女のエピソードのほうがよっぽど CERO 上がるだろ……。主人公は「マークス兄さんが彼女を部下にした理由が分かった」気がすると優しい目をして言うのだが、ホントに? 僕はマークス兄さんがわからないよ。

 確かに彼女のやったことは「外圧により精神が死んだ事による倫理観の崩壊が原因の殺人」であり、ゼロやベルカの「生きるために人殺しもした」と何が違うの、と言われると僕も頭を抱えることになる。法律で裁けば、精神鑑定がはいりそうで、どっちかというと、ゼロやベルカのほうが罪が重いのかもしれない。僕の倫理観が間違っているのか……。

 となぜか自分の倫理観まで反省させられるというすさまじいキャラ造形であった。いや、本当に攻めている。本作では彼女の存在で、支援会話のコンプリート欲を強烈に刺激された面はあり、ある種の引き要素としては成り立っている気がする。味方サイドでここまでできる、と示したファイアーエムブレムif は、総合的には「暗夜王国」の名に恥じない暗い闇を行く作品だったのかも、と思った。