3月31日

手作りの誕生日カードを渡して、やっと彼女の機嫌は直ったようだ。
楽しそうで嬉しそうなふわふわの笑顔を、僕に向けてくる。
この都合のいい野郎めと思いながら、喫茶店を出た。



土砂降りの雨が降っていた。雷も鳴っていた。傘はなかった。



彼女の気持ちがこれでリセットされてしまうなと、諦めに浸りながら、
僕は自嘲気味に、こうやって言った。


「まるで僕達の行き先みたいだね。」



「そうだね。」


彼女は笑顔のままだった。



僕等は雨の弱まるタイミングを見計らい、
フードを頭にかぶった姿で地下鉄の入り口を目指して走った。



これはこれで、僕等らしいハッピーエンドなのかも。
そんなことを思いながら地元の駅に降り立つと、もう雨はやんでいた。