X&Y/COLDPLAY

X & Y
ずっと書こうと思っていて。発売からだいぶたっちゃいましたけど、レビュー書きます。


結論から言うと、このアルバム「考え抜かれすぎ」かつ「元気が良すぎ」だと思います。
確かに前作、前々作よりも、一曲にカタルシスを与えるポイントがたくさん与えられてます。ギターも力強く、綺麗に鳴ってます。音が絞られた部分も曲ごとにしっかり入ってます。・・・でも、なんか違うような感じがするんですよね。なんというか、UKバンドの特徴(と僕が勝手に思ってる)「ここが最高潮で盛り上がる・・・の一歩手前でやめる」という奥ゆかしさがない。今まで絶妙な距離で鳴ってたシンセも、今作では一歩前に出ている(=微妙に音量が上がってる)し。う〜ん。U2の再来とかも言われてるけど、俺そこまでU2好きじゃないし、COLDPLAYU2っぽくなる必要は無い気が。
あと、友達に「前作はROCKだったけど、今作はPOPS」と言われたのは印象深いです。「今作のがギターは沢山鳴ってるし、盛り上がりも多いのになあ」と思いつつ、「理屈で曲を構築しているところがところどころであからさまに感じられるからかなあ」と考え直して、妙に納得したり。
まあ、セールス的には凄いし、成功、とされるアルバムなんだろうけど。僕と同じ不満を持っている人は他にもいるはず。しかしアメリカ人受けがいいのはもしかして僕が不満に感じてる理由のせいかもなあ、逆に。


と、なんかだいぶ毒舌吐きましたが、なんだかんだいって、このアルバム、よく聞いてるんですよね。やっぱりメロディがいいです。盛り上げすぎ気味な伴奏のなかで、冷静さと憂いを忘れずに、届けてくれるし。クリスの声もなんか艶を増してる気がするし。曲単位では「Fix You」と「Speed Of Sound」かな。「Fix You」は、曲自体の雰囲気が厳かで好きです。なんかちょっとSigur Rosの「Samskeyti(Untitled #3)」にちょっと似たものを感じます。メロディの綺麗さもアルバム一、二だと。「Speed Of Sound」はシングルで聞いたときぱっとしなかったんですが、アルバムの中では、純粋に美しいメロディを楽しめる「単純にいい曲」だから逆に少し浮いていて、いいアクセントになってます。


結局のところ、メロディが枯れてないのは確かだし、状況的な調子のよさも手伝って「元気」なのでしっかり楽しめるアルバムです。とくに1stは全然駄目で2ndで見直したファンは大好きかも。ただ、決定的名曲はないかもな。駄曲もないですけど。
・・・結局期待しすぎた*1のかもなあ。COLDPLAYには思い入れも多く、冷静になれない面もあるんですよね。


でも、今後はもっと無駄をそぎ落とした、イギリスっぽい奥ゆかしいさも存分に感じられるものを期待してしまうなあ。「Politik」の最後のポロン・・・ってなるギターとか、「Clocks」のピアノとか、そういうカタルシスをまた僕にください。期待しまくってるんで。

*1:iTunesCCCDでは入らないけど、でも日本語訳が欲しいし、発売日当日に欲しいし・・・って思って、日本盤とUS盤両方買うぐらいでした(あとでCCCDなのにiTunesに入ることが分かって・・・なんでCCCDでも普通に入るのと、SUPERCARのANSWERみたいに入らないのがあるんだよ・・・よくわかんない)