Takk.../Sigur Ros(後編)

曲ごとの感想を。始めには斜字体で、僕自身の感じたストーリーを載せています。

1 Takk...

非現実世界へ。
アルバムの導入。心地いいオルガンの音が、ゆっくり非現実世界に連れて行く。あくまでゆっくり、ゆっくり。

2 Glósóli

ガシガシと刻まれるビートとともに一歩一歩踏みしめて歩いていくと、少しずつ光に包まれていき、轟音ギターとともに天に昇っていく。
いきなり胸がいっぱいになる。これだけノイジーなギターが鳴ってるのに、他の楽器の音に包まれてか、暴力的には聞こえない。ただ幸福感に包まれて、天使のようなジョンジーの声とともに、上へ、上へ・・・

3 Hoppípolla

天上の世界に着いて、待っていたのは祝福。
幸福感あふれる、明るい曲。冒頭のピアノの透き通った音から、ジョンジーの歌うメロディまで、すべてが美しい曲。どの音を追っても幸せになれる。

4 Með Blóðnasir

遅れてきた人にも祝福を。
「Hoppípolla」の続きのような小曲。コーラスがとっても気持ちいい。こういう跳ねたリズムは珍しいかも。

5 Sé Lest

天上の世界を回る。天使達と遊ぶ。
このタイトル「Sé Lest」とは、楽器の名前らしい。鉄琴と木琴の中間ぐらいの音だと思った。この曲はなんか、可愛い。展開も面白く、コロコロと鳴っている「Sé Lest」をバックに、いろいろな音が重なっていく。終盤では牧歌的なメロディすら聞こえてくる。いままでのSigur Rosにはなかった曲だ。

6 Sæglópur

美しい調べを聴いていると、急に嵐が吹き荒れる。奇跡的に生き残り、流れ着いたのは、どこか違う場所。
もっともドラマティックで、このアルバムの中でも、特に大好きな曲。冒頭のピアノの、頭のてっぺんからつま先まで、ぴんと張り詰めて透き通っていくようなフレーズだけで、もう陶酔しきってしてしまうのに、そこからの「動」な展開も凄い。ギターの嵐が吹き荒れ、ジョンジーの祈るような印象的なメロディにはっとする。そして最後にはストリングスによる救いがある。特に冒頭の「静」の部分が大好きなので、もう少しその部分が長くてもよかったな。この曲は、それ自体でも短編映画みたいに完結している。

7 Mílanó

どこか違う場所をゆったりと歩いていく。また違った美しさがある。
自由に鳴るピアノが美しい。ストリングスは後ろでゆらゆら揺れている。

8 Gong

森のような場所を見つける。入っていく。
金属的なパーカッションと、繰り返されるアルペジオギターが気持ちいい。これも新しい境地の曲だと思う。ジョンジーが、声がかすれるほど情熱的に歌う。迫りくるような、少し脅迫的なメロディを歌う。深い森のイメージが浮かんでくる。

9 Andvari

だんだん森を抜けていく。
「Gong」の続き。ギターがここでもこの上なく陶酔的に、気持ちよく鳴っている。ゆったり沈み込んでいくよう。後半は、終わるようで終わらないストリングスが、だんだんフェイドアウトしていく。揺りかごに揺られているような、穏やかさを感じる。

10 Svo Hljótt

ゆっくりと地上の世界に帰っていく。ふわりふわりと。
静かにはじまり、ストリングスに、ジョンジーの声(とアルバム屈指の美しさを持つメロディ)に、じわじわと確実に揺さぶられる。終わりの予感に、少し寂しくなる。途中、伴奏の感じが「寂しさ」から「希望」を思わせるものへ、ふと何かを思い出したかのように変わっていく。

11 Heysátan

現実に戻ってくる。安らかな気分の中、死が近づくのを感じる。
ゆったりとした、呼吸のような伴奏に、やさしい、やさしい歌がのる。「()」と対照的に、とっても安らかなこの曲で、アルバムは終わる。僕の中のストーリーも終わる。揺りかごに座ったおじいさんが、静かに目を閉じて終わる・・・。