日記14

10日ぐらい時間が空いただろうか、久しぶりに日記を書くことにする。


最近の僕は、大学の中間試験やらレポートやらに追われているらしい。
一つが終わるとほっとする暇もなく、それをもう一つの課題が上書きする毎日。
それはさながら、白い壁に白いペンキを塗るかのような作業だった。
どれだけ塗っても少し壁のペンキが厚くなるだけで、何も変わらない。


まったく自分の時間がないわけではない。
しかし僕の頭の片隅には、常にその白い壁から漂う、シンナーの匂いがこびりついていて、
その自分の時間とやらも、また白く塗りつぶされてしまうのだった。


幸いなのは、日記を書く必要が無い日々だということだ。
バーチャルな空間で、日付と日付の間にNULL文字が挿入されていく。
それだけで、僕の日々は語られすぎるくらい語られている。それ以上でもそれ以下でもない。



とはいえ、まったく変化がなかったといえば嘘になる。
あの塾の目が死んだお姉さんと、ぽつりぽつりとだけれど会話が成立するようになったこと。
そして、中間テストの勉強をしていた時に、夢の続きを見たこと。


例のごとく、イヤフォンをつけたままうたた寝をした時だ。
ミッシェルではなく、World's End Girlfriendを聞いていた。ますますよく分からない。
ただ、そのとき僕は白に白を上塗りする作業のことばかり考えていて、
「夢の続きを見た」という事実だけを思い出すと、あとの内容は空白になっていた。


よくあることだ。それから僕は、数理論理学の暗記に戻った。
図書館はすごく静かで、僕がペンキを塗る平坦な音すらもはっきりと聞こえてきた。


「白い壁とペンキ塗りの日々」2007.06.05.1:10am